巨大蜂の洞窟
ユリアンネ達は巨大蜂ジャイアントビーの実物を見るのは今回が初めてであった。通常の蜂と違い、大人の片腕ぐらいの大きさである。当然に刺されたときの被害は、通常の蜂とは比べ物にならないのが想像される。
ユリアンネは、アナフィラキシーショックが蜂によってもたらされることもあることを前世知識で知っている。蜂に刺されて蜂毒に対する抗体ができて、再び同じ種類の蜂に刺されるとこの抗体が体内で過剰に反応する、時には死に至る危険性があるものである。それを知ってからは過剰に蜂を怖がるようになったものである。
ただ、現世ではその現象の話を聞いたことがない。他のアレルギー反応らしきものの話もあまり聞かない。ここは魔力のある世界で、皆の体力が前世よりもあることを知っているため、もしかすると様々な抵抗力なども違うのかもしれない。
ただ、念のために解毒ポーションはすぐに適用できるように準備するつもりである。
そんなユリアンネの心づもりを皆が知るわけもなく、単純に虫ではあるがかなり大きいのと、群れで行動するため洞窟内に攻め入るには相当数の蜂を相手する覚悟が要るという会話をしている。
そして皆の準備ができたところで、盾役のシミリートとジーモントの2人を前に洞窟に入る。一応、ゾフィとフェザーは弓矢の用意もしているが、敵が小さい上に飛び回るので当りにくいと思われるため、それぞれショートソードとダガーに持ち替える準備もしている。
「さっそく来たぞ!」
洞窟の奥から数匹の巨大蜂ジャイアントビーが大きな羽音を立ててくるだけでなく、顎をカチカチと鳴らしている。威嚇の意味もあるのであろうが、当然に無視して攻撃を開始する。