再びモンタール王国
アルソットの街でも目ぼしいものが無かったので、一泊するだけですぐに出立し、再びモンタール王国に向けて北上をはじめる。
ここでも国境付近は周りよりも高い山脈であり、その手前にステルビア王国の国境警備兵が待ち構えていた。元々この国に持ち込んだものであるにも関わらず、持ち出す際には通行税を再び多く取られているようであった。
「独立して商売をするならば、この通行税という経費をしっかり見込んでおかないとダメね」
実家の後継にはならない見込みの次女であるゾフィが、同じく次男のヨルクに話しかけている。
「宿屋のジモ以外なら、工芸屋のうちや書店のユリもそうよね」
カミラが突っ込みを入れている。色々な街の様子、それらの店舗を見てまわる以外のことも含めて、親達は心配ながらに子供達に旅立ちをさせた甲斐は少しずつ出ているのかもしれない。
そして山脈を越えた後のモンタール王国の入国においても国境警備兵に税を支払うことになる。
「うん?クロリス商会?」
「はい、メイユ付近の魔物の異常発生を踏まえて、迂回のため南下してステルビア王国を経由して来ました」
どうも魔物の異常発生に関してここの警備兵には情報が伝わって来ていないようであった。
「これは、このまま北上してルードルフに行っても、魔の森、セルヴ大森林は大丈夫なのかもな」
「そうだな、まぁ油断はしないで北上しよう」
ウィンデルとアントニウスが話し合う。
ストローデ領ほど豊かでは無いからか、この国境からルードルフまでは街が無いようである。




