トルトヴァの街3
経済的なことを教えてくれていたクロリスは
「ということで、ご理解いただけましたら、このステルビア王国の経由拠点はなるべく減らして、早くモンタール王国に戻りたい私の意図もご理解頂けますね。明日からも頑張って移動を進めましょうね」
と、笑って締めくくる。
会話の中にはなかったが、クロリスが運ぶ荷は魔物素材であり、軍用品にもなると国境警備兵に言われていた。おそらくトリアンダンジョン産の高額な魔物素材を王都に運搬する生業なのだと考えると、友好国ならまだしも敵対国にすると憎らしい相手なのかもしれない。
モンタール王国の南西、ステルビア王国の西に位置する真モシノム大公国には近づかない方が良いのだろうと思うユリアンネ。彼女は前世知識もあり周辺国との関係性を理解する頭もあったが、さらに師匠のオトマンが高齢かつ高級品の書物を扱うだけあり情報通であったので、それらの事情が理解された。
「クロリス様からの勉強会はお終いだ!若者たちは、早く寝るんだぞ!明日は西のアルソットの街へ向けてすぐに出発する。さっき冒険者ギルドでも確認したが、この国には魔物の異常発生の話はないみたいだ。急いで移動して、可能ならばアルソットからはまたモンタール王国に戻る経路を目指すぞ」
ウィンデルが解散を宣言する。
クロリスが費用負担ということでピザやパスタなど名産が色々とあった夕食もしっかり食べて、難しい話を聞いたという感じのヨルクたちはそのままベッドに倒れ込むのだろう。
ユリアンネは街で追加購入した薬草を調合している。この国にいる間にポーションを追加販売すると儲かるのだろうな、との思いもあるのと、品不足なのであれば役立つという気持ちもある。そのため、傷回復ポーション以外の腹痛薬なども調合することを考えている。