国境3
巨蜘蛛ジャイアントスパイダーや岩亀ロックタートルを倒しながら山脈を登り、そして下って来たところで、今度はステルビア王国の国境警備兵と思われる建物とその前へ槍を持って出てきた兵隊を遠目に発見する。
「お仕事お疲れ様です。ご覧のように商隊を率いておりますクロリスと申します。山脈を越えてモンタール王国から来ました」
「ほぉクロリス商会か。積荷の確認をさせて貰うぞ」
ここでもクロリスが応対に出てくるが、先方の反応はモンタール王国の出国時に比べてあまり良くない。クロリス商会の名前がモンタール王国の中で有名というだけでなく、こちらのステルビア王国では良くない側の知名度なのかもしれない。
「それぞれの中身を説明して貰おうか」
「かしこまりました」
クロリス本人が警備兵について、それぞれの箱や樽の蓋を開けながら説明をしているようである。
御者台に居たユリアンネにも聞こえて来た範囲では、運搬物資は魔物素材の諸々だったようであり、何という魔物のどういう部位であると説明させられた感じであった。
「まぁ大体わかったが、これらは武器、軍用品にもなる素材だな。これをどこに運ぶ予定なのだ?」
「はい、ステルビア王国は通過させて頂き、再びモンタール王国に戻る予定です」
「あぁ、魔物が増えたという話があったな。理解はしたが、特例は認められない。通行税はしっかり払って貰うぞ」
「はい、もちろんでございます」
具体的な金額までは聞こえて来なかったが、モンタール王国を出国するときよりかなりな額を払ったのか、警備兵が離れたところでクロリス会頭が大きなため息をついたのを見てしまったユリアンネ。単語的には前世記憶の“関税”などの表現はなかったのだが、きっと似た意味の税金があったのであろう。
できれば出国、入国の通行税を払わずに済むモンタール王国内での移動に済ませたかったのは、運搬期間の話だけではなかったのだと理解する。