仲間の不安
宿で落ち着くことができると急に不安な気持ちが膨れ上がる。
「なぁ、この魔物の発生は異常なんだよな?影響はどこまで出ているのかな?」
「ヨルク、誰にもわからないよ、そんなこと」
「そうだな、ゾフィの言う通り、誰もわからない。まぁみんなトリアンの家族が心配なんだろう?確約は無いが大丈夫だろう」
「そうね、シミの言う通りと思うしかないわよね」
「根拠は?」
「まぁ、魔物が増えたのは魔の森と言われるセルヴ大森林付近だけである可能性があること。それにトリアンなら冒険者も領軍もたくさんいること。万が一になっても、港から逃げることもできること、かしら」
「ユリは流石だね」
「そうは言っても、私も父や姉、師匠のオトマンさんは心配よ。船で逃げずに残ると言っていそうだから」
「ユリを待つと言いそうだな。でもまぁ確かにトリアンの方が安全そうだな」
「そうか。じゃあこれから南下って言っていたけれど、そっちは大丈夫なのかな?」
「ヨルクの不安は、食事のこと?」
「そうじゃないけど、いや、それもあるか」
「まぁ南下して経由することになるステルビア王国とは友好関係だからな。じゃないと、ストローデ領でも領兵は国境警備が大変になるけれど、そんな話は無かったぞ」
「シミはたまに衛兵らしさが出るようになったな。で、ジモ、料理はどうなんだ?」
「確かにモンタール王国とステルビア王国では食文化は違うと言うな。ヨルクも食べているピザやパスタがおすすめだぞ」
「おぉ、それは楽しみだな」
仲間達が話していて落ち着いたところで、シミリートはシャドウ達にも話をふる。
「王都シャトニーに向かうには、結構遠回りになりそうだが仕方ない」
とシャドウも状況を理解して、受け入れているようである。