アンハン西の盗賊3
拘束を解かれ武器も返されたところで逃げるか迷っている盗賊達。
「逃げたら死にますよ。この魔物の異常発生、分かったでしょう?少人数では逃げられませんよ」
クロリスの説得により、盗賊達がハイオークファイター達にやぶれかぶれになってあたりに行くことで時間稼ぎができ、最初の3体を順次倒していくのと合わせて、盗賊達が相手していた2体も倒し切ることができた。
ハイオークファイターの魔石だけ先に取り出して、残りをクロリスの魔法の袋に収納していく。並行して自分たちだけでなく盗賊達でも生き残った者たちに対して傷回復のポーションをシミリートが使用してまわる。
合計12人の盗賊のうち、最初に縛っていた7人だけが生き残ることができていた。改めて武器を取り上げて縛り直す。
「もう仕方ないですね。これでは山脈を越えることは無理でしょう。アンハンに戻ります」
「そうですね。承知しました」
クロリスがウィンデルに決断を伝えている。
それでも夜の間に森に戻るわけにいかないため、見張りを増やした状態で野営を続ける。
夜が明けると、上位ハイオークの肉を朝食に振る舞い、登って来た山を東に戻りながら降りて行く。途中の森では小休憩の際に通常オークが襲撃して来ることもあったが、軽く撃退する。かなり急いだことで、何とか日が暮れる前にアンハンの街に到着することができた。
盗賊の衛兵への引き渡し、ハイオークファイターや通常オークの売却などと並行して冒険者ギルドへの情報提供などを実施する。
「そうですか、やはり山脈側には上位ハイオークが発生していましたか。それにこの街の周辺の森でのオーク遭遇が継続ですか。はい、皆さんがこの街に到着した際の通常オーク以外にも遭遇報告が入るようになって来ました。既に警報を発令していますが、追加情報を周知します」
街への到着は遅い時間ではあったが、クロリスの力で宿を手配でき、疲れきった体を休ませることができた。