アンハンの街
オークの死体を手分けして解体し、魔石を取り出し、大きな骨だけは森の中に捨て終わったところで、クロリスが出してきた魔法の収納袋に次々と入れていく。
「これ、どれだけ入るんですか?」
「あら、大人の女性は秘密をたくさん持つものよ」
と良くわからない表現ではぐらかされる。
その野営の後は特に問題も発生せず、翌日の午後にアンハンの街にたどり着く。
ここもストローデ領の街ではあるが、今までの街に比べて小さい。主街道の街と比較すること自体が違うのかもしれないが。
シミリートの興味目線で見ると、小さい街ながらに、メイユほどではないがそれなりの城壁に囲まれている。森の中ということだからモンブロワぐらいになるのであろうか。草原内のコルバックが緩かったというべきか。
ウィンデル、アントニウス、シミリートの3人が冒険者ギルドに向かい、オークとの遭遇を報告しつつこのアンハンでの魔物発生状況を確認する。
「そうですね、メイユからの早馬で魔物異常発生の情報はありましたが、皆さんからのオーク遭遇以外の情報はありませんでした。魔物の発生はこれからという可能性はあります」
「ならば、今夜はこのアンハンにて宿を取り、明朝には西に向かい、そのまま可能そうであれば山脈越えも行いましょう」
クロリスは収納袋に入れていたオークの死体を、商人の部下たちに販売させていた。ウィンデルたちからの報告を聞いて、明日には西に向かう判断をする。
ユリアンネたちもクロリスが確保した宿で泊まるため、薬草の追加調達と合わせて、メモを片手にこの街の工芸屋や鍛冶屋などの情報収集を行っている。
ゾフィは早速このタイミングでショートソードを調達している。