クロリス商会からの勧誘2
「クロリス商会ってかなり大手よね。そこの会頭に認められるなんて、流石はシミとユリね」
「あぁ全くだ。流石だよ」
「ところで、これからどうするんだ?このメイユの街に残って魔物相手をするか、言われるように西に向かう別ルートの護衛をするか」
クロリスたちは支払いを済ませた上で先に料理店を去り、ユリアンネ達はその個室に残って相談している。
「シミ、俺たちは王都シャトニーに向かいたい。この街に残らず、西に向かいたい」
クロリスたちがいるときにはほぼ発言せずに黙々と食事をしていたシャドウとフェザーであったが、ここに来てシャドウが希望を言う。
「やはり兄妹の旅には目的があるのだよな。そうか、王都か」
「訳は言えない」
「あぁ、良いよ、気にするな。そうか、俺たちも王都を目指していたんだから、じゃあ王都まで一緒に行くか。みんなも良いか?」
シャドウたち兄妹が、この地方の言葉に慣れていないのもあり発言量が少ないだけで、根が良い人であることを分かっている仲間達は、何となくの同行者というよりも王都まで一緒に行くことが決まった同行者になることに賛成である。
それに、“蒼海の眼”の残党を避けるために旅立ったのであり、トリアンに戻らないまでも同じストローデ領に居続けるのも良くないという思考である。
結果、クロリスの泊まっている宿への護衛を受ける旨の連絡はシミリート達が行い、ユリアンネ達は大量消費したポーションの補充のために薬草や薬瓶を仕入れ宿で調合を行う。
翌日には冒険者ギルドで、護衛に関する指名依頼の手続きを行い、メイユより南にある少し小さな街、アンハンに向かうことになった。
ユリアンネは銀級冒険者のシグランが使っていた精霊魔法の話を聞けないままであるのは残念であるが、しかたがない。