金級冒険者エックハルト
「よぉ、苦労しているみたいだな。助けてやろうか?」
「そんな呑気な。誰でも良いから助けてくれ!」
西から来た槍を携えた男が陽気な口調で話しかけてくる。切羽詰まっているこちらの冒険者達は藁にもすがる気持ちである。確かに通常では、他人の獲物を横から奪ったと言われないために、魔物と戦闘中の相手には声かけをしてから助太刀に入るものであるが、この非常事態に、と思ってしまう。
「よし、任せておけ!倒したら素材は貰うからな」
「いくらでもやるよ!」
一般の馬より立派な体格の馬に跨った男は、器用にその馬を操りながら炎のブレスを避けてドレイクに近づき、ドレイクの硬い鱗をものともせずに槍を突き刺し、穂先で切りつけて倒していく。
一方の女性の方は馬の足を止めて、馬に跨ったまま腕を大きく振り回し何か呪文を詠唱して、緑色の魔法陣を浮かび上がらせている。しばらくするとその魔法陣から強風が巻き起こり、その風がワイバーンに当たるが、傷を負わせるというよりは飛行の邪魔をしたようである。怒りをあらわにしたワイバーンがその女性に向けて滑空して降りてくる。
「ほらエック、ワイバーンを誘き寄せたわよ。後はよろしくね」
「おぉシグ、良くやった。任せておけ」
シグと呼ばれた女性は馬を操り、エックと呼んだ男性の陰に隠れるように移動する。そして男性は近づいてくるワイバーンに≪飛斬≫と叫びながら斬撃を与えた後、≪急所≫≪剛撃≫と繰り返し叫び槍を何度も突き刺し、切りつける。ワイバーンは逃げようとするが再び女性による風魔法で動きを邪魔され、男性の槍攻撃によるダメージで地に落ちて行く。
男性は、ワイバーンにとどめを刺した後、残るドレイクも始末してまわる。