モンヴァルト山脈の入口
山脈の下半分である森もある程度は進んだと思えたところで、前方から戦闘音が聞こえてくる。
先ほどフラグ発言をした“無辺なる三芒星”メンバに対して皆の視線が一度向けられるが、すぐにそのリーダーのラニサヴが発言する。
「俺たち3人が様子を見てくる!皆は戦闘準備を!」
「よし、任せた」
冒険者側の取りまとめであるラインハートが追認する。
そして残った商人と冒険者たちは、森の中の狭い街道ではあるが、守るべき馬車をできるだけ近くに寄せてその周りを冒険者が取り囲むように配置される。
しばらくの間、皆が緊張して全方位を見張っているが、何も起こらない。
「お待たせ!」
ラニサヴ達“無辺なる三芒星”が帰って来て、前方の様子を報告してくる。
「魔物の襲撃があったが先発グループだけで撃退できていた。どうもハイオークが10体以上だったようで、少し時間はかかってしまったらしい」
「何?ここはハイオークの出るような森ではないはずだぞ」
「そうは言っても、なぁ。事実は事実だし」
「あぁそうだな。先発グループも結構な人数の集団だったはずなのに襲撃してくるということは、かなり空腹だった可能性もあるな。同等規模の俺たちも油断できない」
「ラインハートさん、日が暮れる前に急いで移動を再開しましょう!」
クロリス会頭が声をかけてくる。
「確かに視界が遮られる森は早くに抜けることに越したことは無い。急ぐぞ」
ラインハートの声かけで当初の予定より少しでも前方に向かうことにする。野営場所の確保に苦労するかもしれないが、想定以上の戦闘があるよりマシという考えである。




