メイユからの出発準備
メイユから西のフスハレの街に向かうにはそびえるモンヴァルト山脈を越える必要があること、魔の森とも言われるセルヴ大森林に近いので魔物が多いエリアであることから、少数での移動は推奨されていない。
領を跨ぐような大きな移動の護衛依頼の商隊も、この区間では他の商人や冒険者達と合流して大規模部隊を作って山を越えるらしい。その調整を行うのは冒険者ギルドであり、山を越えるつもりの商隊、その護衛依頼を受けるつもりの冒険者達それぞれのマッチングを調整するのである。
冒険者パーティーの全員が参加できるほど広い場所は無いため、各パーティーのリーダーが集まって、どのような組み合わせになるかを議論する場が持たれていた。
“選ばれた盟友”6人と、シャドウとフェザーの兄妹2人の合計8人の代表はもちろんシミリートである。彼自身も銅級冒険者であること、8人のうち彼も含めた3人が銅級であるのでそれほど酷い扱いは受けないと期待している。
会議室にはシミリート以外に6人のリーダーが集められていた。自己紹介では、“黒鉄の秩序”リーダーで銀級のラインハート、“勇敢なる戦線”リーダーで銅級のイエル、“鉛色の魔槍”リーダーで銅級のダンクマーク、“無辺なる三芒星”リーダーで銅級のラニサヴ、“赤熱の龍霊”リーダーで銅級のアリベルト、“優美なる冒険団”女性リーダーで銅級のダニエーラであった。
冒険者側の人数規模、同時に依頼をして来ている商隊の数と規模を踏まえて、大きく2グループに割るようにギルド職員から提案があり、結果としてシミリート達は、ラインハート、ラニサヴ、ダニエーラの3人をリーダーとするパーティーと一緒に3組の商隊を護衛することになった。
それぞれが6人、3人、3人のパーティーのリーダーであり、こちらの8人を足した20人が、残った3パーティーの人数とだいたい釣り合いが取れるからである。またこちらの半数が女性であることから、女性パーティーの“優美なる冒険団”と組ませて、女性・子供が居る商隊を割り当てられたようである。
シミリート個人としては、槍の使い手の集まりである“鉛色の魔槍”と同じグループになった方が学ぶことが多いと思っていたのだが、決定に従うしかない。




