オーク撃退2
怪我を治療している合間に手の空いている者が手分けしてオークの死体を集めてきていた。
「はぁ、これで最後か。全部で36体だぞ」
「何だと!?Dランク魔物が魔の森の入り口近くでそんなに?」
シミリート達はこの場所の日頃の魔物の数を知らないため発言はしないし、シャドウ達は元々口数が少ない。結果として、商人と地場のアディーレ達が会話を続ける。
「メイユまでの街道ならば、ゴブリンなどのEランクがほとんどで、オークみたいなDランクは稀だったのに」
「このままメイユに向かいますか?」
「うーん……このままDランク魔物がたくさんであると、メイユも危険だが、コルバックにも伝えた方が良いだろうな」
「いえ、そうであるならばメイユにこの荷馬車の資材を搬入する方が優先では?」
商人ディッキーとベンヤミンの相談の結果、まずはメイユにそのまま向かうことになった。ただし、これ以上に魔物が増えて来たらコルバックに引き返すことにする。その場合でも、この状況であるので護衛失敗とはしないので判断を誤らないように、との結論である。
メイユに向かうとなればまだもう1泊は野営が控えているため、興奮状態ではあるものの、見張り当番以外は眠りにつくことになった。オークが仮死状態なだけの可能性を踏まえて、念の為に全ての死体から胸の魔石を取り出してから、ではあるが。
幸いにしてその夜はそれ以上の襲撃もなく、翌朝にはヨルクの催促もありオークの希少部位を用いた料理をジーモントが行う。
その間に、邪魔になる大きな骨や内臓は取り除いた解体後のオークの死体を馬車に積み込む。かなりの数であり、商人達も自身の乗るところが狭くなったようだが、文句も言わず搭載を許可してくれた。
ヘンドリク達は昨夜の失敗を反省しているのか妙に大人しい。




