オーク襲来3
ヘンドリク、イルヤが馬車の円陣のなかに戻り、アディーレも馬車の隙間の防衛をバーレットと交代すると、全体に余力がある状態になる。
「うちのバカがすまなかったね。どんな状況だい?」
「倒したオークが足元で邪魔で、引きずり出すのも手間だ。シャドウのところは特に人数が少ないよな。続けるならば、人をまわしてやってくれ」
戻って来たところで状況確認が甘いアディーレに対してシミリートが答える。シミリート、ジーモントがそれぞれ居るところでは、3人ずついるので、何とかなっているが、シャドウのところは2人のみ。アディーレが戻るとそこは6人でバランスが悪い。
「了解!」「疲労で剣をふるのは無理でも、それぐらいはできるだろう?ヘド、イルヤ、お前達が行け。変に攻撃に参加して邪魔するなよ」
「分かったよ」
馬車8台と護衛冒険者14人が居る集団に対して攻め入ったオーク達。当然に勝つ自信がある人数で来ていたはずであり、4つの隙間で少しずつ撃退してもまだまだ減った感じがしない。
「アディーレさん、大丈夫ですか?」
少し落ち着いたところを見計らって商人ディッキーが発言する。
「アイツら、馬車の幌を破って荷台に手をかけようとしていませんか?ほら、馬車の足元から見える、アイツらの足……」
「チ!みんな!隙間から円陣の外側に押し出してくれ!馬車が狙われている!」
「クソ!了解!」
「分かった」
4ヶ所ともに余裕があったわけではないが、例えばジーモント、カミラ、ユリアンネの3人のところでは少し前に進むことで、ユリアンネが魔法を放つ射線が広がり、馬車の側面に取りつこうとしていたオークも攻撃対象にできた。