メイユへの一泊目2
商人ディッキーの方には“御手の大剣”4人と追加女性2人の6人が、商人ベンヤミンの方には“選ばれた盟友”6人が、昼間の護衛と同様の分担で夜も見守ることになった。シャドウ達は遊軍のままである。
最初のシャドウとフェザーの2人の当番が終わり、ヘンドリクとイルヤ、ヨルクとゾフィがそれぞれ起こされて見張り番を交代する。
「魔の森が近くなると、シャドウのおかげでの兎肉も減るのかな。明日からの食事が寂しいなぁ」
「ヨルクは食事のことばかりね。まぁこの前のケチ依頼主と違って、今回の依頼主の食事ならばそれほどひどいことにはならないと思うわよ」
「あーぁ、いっそハイオークでも居たらそれを狩ってジモに調理して貰うのに」
「そんなこと言って。狩りに来たんじゃなく護衛だからね……。って、アレ!」
かまど付近に置いてあった空になった鉄鍋をドラのように打ち鳴らすゾフィ。
「ヘンドリク、そっちのみんなも起こしてまわって!敵襲よ!」
「何だって!?どこだ?」
「あっちに見えたけれど、包囲されているかもしれないから、まず皆を起こして!」
「ふん、森の入口程度の敵なんて、俺に任せておけ!」
「ちょっとヘンドリク!」「まったく!仕方ないからヨルク、ディッキーさん達も起こして来て!」
「おぅ」
「ヘド!ちょっと不味くないか、この状況」
「くそ!この場所だからゴブリン程度と思っていたのに、オークとは」
「話も聞かずに飛び出したから。引くか?」
「バカ!所詮はDランクだぞ。ここで俺たちの力を見せつけて、姉貴を見返すぞ!」
「そうは言っても、この数!」
「うるさいぞ!イルヤ、俺が引き付けているんだからもっと矢を!」
「いや、盾役でもない大剣で切り付けるだけのお前では全然引きつけられて無いんだって。うぉ、こっちからも来た!」




