メイユへの一泊目
コルバックからメイユに向かっている、商隊2組への護衛依頼を他冒険者パーティーと共同で受けている“選ばれた盟友”たち。
地元の銅級冒険者アディーレが言っていたように、行程1日目の午後からは少し離れたところに森が迫って来ているのが分かる。ここから王領までは、街道から北側にずっとセルヴ大森林は続いているらしい。この森は魔の森とも呼ばれるほど魔物が多く、その話を聞いていたユリアンネ達は緊張しながら午後を過ごす。
「ふぅ、いったんこの野営場所までは何事もなくて良かった」
「そうね、でも夜の方が不安だから見張りも気をつけないと」
この護衛冒険者達の中でも経験豊かなアディーレと相談し、馬車8台と馬達の配置をしながら、その円の中に幾つかのかまどを分散しながら作る。この商隊の規模が大きいため、夜の見張りの灯りを複数用意するためである。
夜になっても他の商隊は来ないようであり、このメンバだけで広々と野営場所を占有することになった。
「万が一の場合の連携のため、“選ばれた盟友”の6人は好きな組み合わせで見張り番を決めておくれ。私たち6人も適当に決めるから。シャドウ、あんた達2人は他との連携も難しいだろうし、一番無難な最初の時間帯だけ2人でやっておくれ」
「了解」
「分かった」
シミリートとシャドウはアディーレの指示に従い、夜の見張り番を決める。
“選ばれた盟友”の6人は、トリアンダンジョンで慣れたヨルクとゾフィ、シミリートとユリアンネ、カミラとジーモントの組と順番を継続することにした。
もう1パーティーの方、ヘンドリクをリーダーにした“御手の大剣”の男性4人に追加の女性2人は、ヘンドリクとイルヤ、アディーレとウナ、エナンドとバーレットとするらしい。唯一の銅級冒険者であるアディーレを一番危険な真ん中に配置して女性同士を組み合わせているのだと思われる。