コルバック散策
「ヘックション!」
「おいおい、ヨルクは風邪じゃないだろうな?ユリに薬を貰うか?」
「きっとアイツらが噂をしているだけだよ」
「それはあり得るな」
まだまだ育ち盛りの男性陣ヨルク、シミリート、ジーモントは買い食いをしながらだが、武器屋の陳列や宿屋の雰囲気を見ながらメモを取っている。
また、衛兵達の様子や城壁の作りを見ている。ここもまだストローデ領でありそれほど衛兵達に違いは見られない。ただ、草原のなかにある街であり領の中でも安全な土地だからか、森の中のモンブロワよりもかなり低く薄い城壁であることが見て取れる。
とは言うものの、主街道の街であり人の往来はあるからか、商人や冒険者がそれなりに居るため、騒動は回避できないようである。
「こらー!待てー!」
「待たない。俺たち悪くない」
黒髪に羽根を差した見たことがない雰囲気の男女2人が走って逃げているのを、男性が追いかけている。男女の少し前には大きな鳥が飛んでいる。
シミリート達3人にぶつかりそうになった男女2人は上手く避けたが、その後ろの男性は回避できず、低身長のヨルクにぶつかり転んでしまう。
「なんだお前達は!アイツらの仲間か!?」
「いや、単なる旅の冒険者だが。何があった?」
舐められないように敬語ではない口調でシミリートが応対する。
「あの変な格好の2人が連れた鳥が、空から急に降りてきて焼いていない串肉を咥えていったんだ」
「盗難か?」
「ん?いや、その前にあの男が金を払ったが、焼く前の生だから売れないと話していたところだった」
「じゃあ、実被害は無だな?」
「あ、あぁ。他の客が驚いて腰を抜かしたぐらいだ」
「よし、鳥が欲しがるぐらい美味い串、俺たちも買うとしようか。連れて行ってくれ」
衛兵の技なのか、意外と大人になっていたシミリートに対して驚く2人を連れて、男の串焼きの屋台に向かう。




