2度目の護衛依頼2
ユリアンネ達6人は迷宮都市トリアンの西の街モンブロワを出発し、西方面の次の街コルバックを目指している。モンブロワは森の中の街であったが、その森も途中で終わり草原の中にある街になり、横には大きめの川のある街であるらしい。
トリアンからモンブロワは1泊2日の行程であったが、今回は2泊3日の行程であり、1泊目は森の中、2泊目は草原の中になるとのこと。
モンブロワを出てしばらくすると森狼が目に入る。前回は先輩冒険者のアンフィル達が居て、無視するのか停車して戦闘するのか等も判断してくれたが、誰にも頼れない。
「シミ、軽い文句ぐらいは後で言うかもしれないが、リーダーのお前が判断してくれ」
「文句は言うのかよ。でも仕方ないよな、こういうのは躊躇した方が危ないからな」
シミリートとジーモントが依頼主に聞こえないところでやり取りしている。途中から御者になったヨルクとカミラは慣れていないのだから急ぎで逃げる操縦は難しいことを踏まえると、前回よりも多めの戦闘になることを覚悟する。
その覚悟ではあったが、昼前になるまでは森狼の方も単体もしくは2体程度を見かけるだけであり何とか素通りすることが出来ていた。
そして昼前、この商隊での初めての戦闘。逃げ切れる数ではなさそうなので停車して応戦することに。
「前の馬車、ヨルクは馬を回して!馬車で馬を挟んで守るぞ!」
狼が馬を狙うことを知ったシミリート達は、前回より少ない馬車数ではあるものの、馬を馬車で隠す。シミリートとジーモントの騎馬も馬車の間に連れて行き、2人は下馬して森狼を迎えうつ。
ユリアンネは森への延焼を避けるため街道に出てきた狼に火魔法を発動し、ゾフィは街道外の狼を狙うが、停車してから近づいた狼に矢を放っているので的中率は高い。
前回に比べて応対する冒険者数も減ったが、守る馬も減ったので何とか守り切ることができた。問題はその後である。
倒した森狼から魔石を取り出した後は、流れた血でさらなる獣を呼ばないために移動しようとしたときである。
「森狼の死体はどこに積めば良いですか?」
「何を言っている?なぜお前達の荷物を載せてやらないといけないのだ?」