森狼2
「ヨシ、逃げる奴もいないで殲滅できたな。小休憩をとる。矢の補充や武器の手入れを簡単に実施!」
「手が空いた方は死体を回収して荷馬車に積んでくださいね」
アルフィルが終戦を宣言し、プリアメデが回収の依頼を言う。
幸い、誰も怪我をしていないので手当の必要はなかったようである。
「ダンジョンでは時間が経つと死体は吸収されるが、外の世界ではそのまま残る。下手するとアンデッドになったり、他の魔物の餌になって魔物の突然変異の元になったりすると言われているから、少なくとも魔石だけは回収するんだぞ」
「それに道に死体を残していると後から通る人の迷惑だから、魔石や素材を取れば、森の中にでも投げ込んでおくんだよ」
「護衛中に倒した魔物は護衛者の物になるから、後で商人達から買取料を貰えるぞ」
先輩冒険者達が経験不足の“選ばれた盟友”の若い6人に色々と指導をしてくれる。
そして森狼の処理などが終わったところで出発する。
先ほどの戦闘の様子を見ていた隣席の御者からは
「ユリアンネってすごいんだな。将来はすごい魔法使いになるのかな」
とやゆされて照れてしまうが、薬師になりたいのだけど……と考える。
夕方になり、ますます暗くなって来たところで、街道の横に広い空間がある場所にたどり着く。
「ここは野営をするために切り拓かれた場所になる。かまどに使用する手頃な石も皆で使い回しをするから苦労も少ないんだ」
「ごくまれに人がいっぱいで困ることもあるのだが、今日は他の客が居ないようだな。居ないと魔物の夜襲が心配になるが、居たら居たで盗賊でないかとお互いを意識するからどっちもどっちだな」
ここでも馬車を外側に円陣を作るようにして、馬を馬車から外して水や餌などを与える。ユリアンネたちはその水の用意や料理を引き続き手伝って野営の準備を行う。
魔力消費を抑制するのと目立たないようにするため≪洗浄≫を全員にかけて回ることは自粛している。