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第六話  ヤンデレ勇者の正体

まったく…君は相変わらず妙なところで鋭いなぁ」

あきれたような、嬉しいようなそんな顔をしていた。

「お前が隠す気なかっただけだろ…」

たしなめるように言うと、彼女は俺の耳元で囁いた。


「君、昔から耳弱いよね」

俺は全身に鳥肌が立ち、思わず後ずさりし距離を取った。

昔はただの冗談だと思っていたこの行為も、今では別の意味でとらえてしまう。

これが成長か…と若干高校生にして悟ってしまうとは。


「それより修行っての、早くやろうぜ」

俺が剣を渡すように手を差し出すと彼女は俺のことをなめまわすように見てきた。

「まったく君は…僕が幼馴染ってわかった瞬間に急に態度変えちゃってさぁ…」

彼女はしょぼんと肩を落とし、何故か唇をとがらせている。


「はーやーくー」

俺が何のことかわからずに呆然と立ち尽くしていると、彼女は怒ったように立ち上がり、俺の方に顔をグイっと近づけてきた。

「お詫びのキスっ!!」

耳元で以上にでかい声で叫ばれたので、キーンと耳が痛む。


「おまっ鼓膜敗れるかと思ったぞ…」

離れていく彼女に俺が駆け寄ろうとすると、剣が飛んできた。

「うわっ。危な」

すかさず剣を手に取り彼女の方を見ると、彼女はいなくなっていた。


「…っ…!」

俺の背中から激痛が走る。

今まで体験したことのないような、まるで臓器をえぐりだされているような耐え難い激痛。



「あぁぁぁぁああぁあ!!…っ…ぁぁぁああ…」

地面に力もなく倒れると、俺の意識は瞬時に暗闇に飲まれた。

それからどれくらいたったのかは分からないが、俺の意識に一筋の光が差した。



「おーい、ハヤトクン。起きたまえよぉ」

だんだんと意識が戻っていくのを感じ、五感もはっきりしてくる。

「あ~早く起きないと、君をキスで窒息死させるよ~」

目を開けると、そこには今まさにキスをしようとしていただろう勇者の顔があった。



「あ~もうちょっとだったのに」

俺が起き上がるのを横目に、彼女はへらへらと笑っている。

「おい…ってかいきなり殺すってのはどういう要件だぁ!!?」

俺はたまりにたまった鬱憤を爆発させるが如く先程の彼女に負けず劣らず鼓膜を破るつもりで言い放った。



「いや…君さっきの私の声で鼓膜破れてたから、いっそのこと一回殺してから回復させる方が一石二鳥かなと」

何が一石二鳥なのか、まったく分からないがとりあえず一から話していこう。

「いやってお前、人を勝手に…」

「いや…君、ステータス見てみなよ」

話を遮られたが、俺は素直に彼女の指示に従うことにした。


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九先日隼人(魔法剣士)


レベル23


HP234

MP1

物理攻撃力120

魔法攻撃力139

攻撃魔力90

回復魔力9999



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俺は開いた口がふさがらなかった。

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