16.バトル開始
「そろそろですかね」
待機室の扉が開くとセレネティリアさんが入ってきた。
「皆様大変お騒がせしました。先ほど話していたもう一組の御一行の代表者様がこちらへお見えになりました。私共が最初に会った大部屋での案内になるため、皆さまも私共の元へお越しくださいますと幸いです」
「時間になったのでそれじゃあ手筈通りにいくよみんな」
みんなが頷く。
「対面ですが私達3人が引き受けます。1人いなくてもいいですよね」
「ええ、勿論ですよ」
「分かりました。そしたらご案内ください」
大部屋へは僕を除いた3人が訪れることになった。
3人がセルファシアさんと対面している間に、僕は3人が持っている監視魔法から、周囲の様子を離れて伺う算段だ。
なんとかうまいタイミングを見つけて、表へ出たいところである。
「来たようだなゼ―ネ、補助班の君達もここまで良くたどり着いたとほめておこう」
「師匠……あの程度のルート、私達なら難なくこなせるのは承知の上でしたよね」
「ふっ、それもそうだな」
「なんだ、成り行きで精霊女王と話すことになったみたいじゃないか。補助班の次の指令を出したいところであるが、一旦精霊女王様の話でも聞くとしようか」
「ええ」
気を使っているのかレピティとエルカは静かにゼーネシアさんの後ろで待機している。
そんな中で準備が整ったのか再び扉が開くとセレネティリア様が、王座に座りみんな目の前に姿を現した。
「さて、さて、私も気を引き締めようと身だしなみを整えてきました。皆さま本題の人と精霊の通路に生じたひずみの話を再開しましょうか」
「ひずみか、おおよそは予想がついているが」
「おお、勇者様は既にひずみの原因を知っていると」
「当然だ、精霊術師の干渉であろう? それが私が原因って言いたいんだろうな。まあそうなんだが」
「なっ!」
「師匠! それはどういうことですか」
「私は封印が解けてから各地で精霊召喚を行っていた。その結果ひずみが生じたんだよ」
「何故そんなことを」
「ゼーネに言う必要はないかな」
「そうやってまたはぐらかして、グラスさんにも意地の悪い事したのは分かってるんですよ!」
「グラス……なんでお前がそのことを知っていて……っ」
その時精霊女王の魔力が跳ね上がり周囲の空気がピリつく。
「あなたが……原因でしたか。知っていました。ひずみを壊す方法はひずみを作った術者を葬ることが一番手っ取り早いんですよ」
「よく知っているな。それで、どうするんだ?」
「決まってますよ、私が今ここでケリを付けます」
「ゴゴゴゴゴゴ」
なんだ、なんだセレネティリアさんの魔力が凄い上がっているんだが、これはシャレにならないのではないか。
しかしひずみの原因がセルファシアさんだったなんて、本当にろくでもない人だな。いったいなんでそんなことをしたのだろうか。
「ひやあああ! 建物が崩れるぞおお」
「落ち着いてくださいエルカさん、一先ずここを離れましょう」
「お二方はちょっと先にグラスさんの元へ戻ってくれますか。私はちょっと師匠と精霊女王を止めようと思います。何か誤解があるはず」
「分かりました」
エルカとレピティが戻ってきそうであるが、僕はどうするべきか、ゼーネシアさんと一緒に2人の戦いを止めに入るべきなのだろうが、そうした場合レピティとエルカが危険にさらされてしまうかもしれない。やっぱりやるなら……あいつは。
セレネティリアの大部屋から逃げるレピティとエルカの前に見覚えのある人物が接近していることに僕は気づいた。
「貴様何者だ!」
「ちっ、シセレッサの奴、俺に付いてくるとか言っといて途中でどっかに消えやがった。まあいいや、これで楽しみが一人で堪能することが出来るからな」
「あ、エルカさん、あの人どこかで見覚えがありますよ。たしか……」
「よう久しぶりだなお前ら、俺のこと覚えてるか? あの時王国の商街で出会ったときに一緒になったよな?」
「貴様はあの時私を侮辱したフォラ? あれなんだっけ」
「フォラリフェだ、人の名前を忘れんじゃねえよ」
「面白かった、続きが読みたい!」
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