表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/173

7.能力不発動


「出たな」


「ギュワあああああ」


 現れた廃デーモン、歩いていたらいきなり現れたけど、知らない間にセルファシアさんはこいつを感知していたんだろうか。


「廃デーモンをそこの3人で倒してくれないか」


「了解したぜ」


「……」


「分かりました……」


 いや、自分は手を出さないのかよ。


「ギュワあああああ」


「これは!」


  3人で廃デーモンに接近しようとすると、廃デーモンは三体に分裂した。


「面白くなってきたな! 一人一体で分担するぞ」


 フォラリフェの呼びかけにシセレッサも頷く。


「ギュワあああああ!」


 僕の元にも廃デーモンが接近してくる。迎え撃つとするか。


 僕は解魔石を取り出して力を発動しようとした。


「あれ? 力が発動しない? なんで? ぐはあああああ!」


 僕の身体は廃デーモンに吹っ飛ばされた。





「ダブルフレア!」


「ギュアアアアアアア!」


「ふう、楽勝! こんなのが審査になるんですかセルファシアさん」


「……ふん」


「へへ、随分優しい課題を出してくれたものだね」


「ギュアアアアアアア!」


「……」


「ギュア……バタっ」


「なんだ、シセレッサっていったか。何をしたか知らないけど廃デーモン勝手に倒れた? 中々の手練れのようだね面白い。さて、後は英雄グラスさんの戦いぶりでも見てあげるかな……は?」



「ぐあああああああ」


「ぎゅわああああああ!」


 廃デーモンの高速打撃が僕を襲う。


 なんでだ解魔石が発動しない、廃デーモンはS級の魔物のようだし、これは出力方法がないじゃないか。仕方ないここはミルティに頼るか。


「ミルティ出てきてくれ! ミルティ!?」


 なぜかミルティは僕の呼びかけに応答することは無かった。


「また反応がない……一体ミルティは何処へ行ってしまったんだ」


「ぎゅわああああああ!」


「ぐあああああ!」


 そんな僕の不測の事態などお構いなしに攻撃を仕掛けてくる廃デーモン、普段は余裕で倒せる相手なのだが、出力が使えない今、S級の廃デーモンから絶望的な力の差を僕は感じた。


「こ、こんなの勝てるわけがない……う、うわあああああああ!」


 接近する廃デーモンを前に僕は命の危険を感じた。


「ダブルフレア」


「ギュアアアア」


 その時廃デーモンは炎の魔法によって焼き焦がされた。


「は、助かった。ありが……フォラリフェ?」


 どうやら僕の苦戦していた廃デーモンを倒してくれたのはフォラリフェであったようなのだが、何故かフォラリフェから殺気を感じた。


「おい、ふざけんなよ。てめえ、なんでそんな弱いのに勇者パーティーを志願したんだよ」


 フォラリフェは凄まじい力で僕の胸倉をつかんできた。


「いや、何故か能力が使えなくて……」


「は? 廃デーモンなんて雑魚なんだから勇者パーティーに所属するなら素の力で倒せなきゃダメだろ。お前はそんなことも出来ないのか? セルファシア様の前でなんていう醜態をさらしてんだよ」


 何だこの怒りようは、フォラリフェという人物はどこか人格に欠陥を抱えているのだろうか。


「ごめん次は頑張るよ」


「次は頑張るねえ……おらあ! ドカっ」


「グハッ」


 僕は胸倉をつかまれたまま顔面をフォラリフェに思いっきり殴られた。


「馬鹿が次なんてあるわけねえだろ雑魚が」


「て、てめえ……っ!」


 そんなやり取りをしていると、シセレッサがこちらに来た。


「……」


 するとシセレッサは僕に手を差し伸べてくれた。


「お、ありがとう」


 僕はシセレッサの手を握ろうとすると、シセレッサは突然手を離した。


「バタッ……痛って! 何するんだ」


「クフフ、アハハハハハハハハハハ! アハハハハハ!」


 その時無言だったのが嘘だったかのようにシセレッサは残虐な笑いを見せた。


「凄く面白い、英雄扱いされていた奴が、無様な姿を見せるの。私最高に気持ちよかった」


「はあ? てめえ、人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ!」


 僕はシセレッサに殴りかかる。


「バシッ」


 その時セルファシアさんが僕の振りかぶった手を掴み、衝撃を無効化した。


「誰が暴れていいと言ったんだ。パーティー間での仲間割れは禁止だ」


「いやそいつが僕を馬鹿にしたんだろうが」


「……」


 またこいつ僕の意見を無視して……。


「さて、先に進むとしようか」


「りょうかいでーす」


「……」


 セルファシアさんの提案によって何事もなかったかのようにフォラリフェとシセレッサは歩き出したのであった。


「こ、こいつら」


 僕の怒りはかつてない程強く高まったのであった。


「面白かった、続きが読みたい!」


などなど思った方がいましたら下の☆☆☆☆☆から作品への応援をお願いします。


ブックマークも頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ