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3.対面会

「勇者パーティーにですか」


「ああ、そうだね」


「おいグラス、とんでもないことになってきたな、まさか勇者が生きていたなんて」


「ほんとだよ、ここに来てからびっくりしたことばかりだ」


「今あいつらは何をしているんだ」


「それはまあ、何十年ぶりの再会だから積もる話があるんじゃないのだろうか」


「ご主人様! という事はまたしばらく会えなくなるかもしれないことがあるんじゃないですか」


「……」


 確かに僕が勇者セルファシアの勇者パーティーに加わった場合レピティ達とはしばらく会えなくなる。それは自分としてもいやであるが、僕にも自分の意志では決められないくらいの功績と信頼を得てしまったわけである。勇者からの依頼を断るなんてギルドへの信頼の問題へと繋がるし。


「そうだよな、レピティ達と会えなくなるのは寂しいというか、不本意なんだが」


「……私はあまり今回の件を受け入れられませんよ。そもそもいきなり現れて少々強引な気がしますね」


「グラス! 私からもちょっと抗議を入れてくるぞ、なんでグラスがいきなりそんな任務に顔を出さなくちゃいけないんだって」


「ちょっと、待ってくれよ、勇者に抗議なんてまた面倒なことになりそうで」


「ふふふ、中々荒れているようですね」


「ゼ―ネシアさん」


 口論になっている僕らの目の前にゼ―ネシアさんが現れた。もう話はおわったのであろうか。


「レピティさん、エルカさん、さっき師匠と話したんですが、グラスさんと別れる必要はなさそうですよ」


「え? そうなんですか」


「ええ、師匠曰く私はサブメンバーとして勇者パーティーから少し離れた場所でサポートメンバーとしての役割を与えられました。レピティさん達にはそこに入ってもらいたいのですが如何でしょうか」


「ほ、本当にいいんですか。私達で」


「ええ、勿論ですよ」


「これでご主人様としばらく会えないなんてことがなくなりますね。本当にゼ―ネシアさんありがとうございます」


「私からもお礼を言うぞゼ―ネシア」


「ええ勿論ですよ」


「ふう、一先ず荒れずに済みそうだな」


 こうして勇者パーティーに僕が所属するという話は、何とかレピティとエルカの同意も得ることができ、丸く収まることになるのであった。




 後日、勇者セルファシアの勇者パーティー創設の件はシュレッタ王国に知らされることになる。現王であるレネが今回の件について対面会として伺うことになったそうだ。



「それでご主人様も席へご同席なさるのですか」


「まあ、そうだね、なんていったっていきなり復活した勇者様の冒険者パーティーに所属するわけだから、それはもう大変大掛かりなものになると思うんだよ」


「なら、出席しないと周囲の方々にご迷惑が掛かりそうですよね」


「うむうむ、そうだろ?」


「グラスはいつも気にしすぎるんだよ。そんな会に参加する必要はないと思うのだが。またレネの奴に毒されるかもしれんぞ」


そ、そうだよな、またあいつの元に行くのはちょっと気が引けるよな。


「でもやっぱり出席するべきだとは思うな。私も分かったぞ」


 僕の勇者と王国の対面会への同席はレピティとエルカに認められることになったのだった。





 シュレッタ王国では豪華な装飾品に彩られた豪勢な部屋で、勇者セルファシアの対面会が開かれることになった。


 これだけ豪勢な部屋であると、参加者の服装もそれなりに気を使った高級感あふれるものになっていて、僕もそれなりに準備をした格好で部屋に赴くことになったのだった。


「あら? あなたも来たの?」


 そんな中会場へ赴いた僕を迎えたのが、レネだった。レネの格好は普段とは違って更に豪勢なものになっていて、正直言って見とれてしまいそうになった。


「ま、まあな」


「まあなって、相変わらず粗末な応答ですね。この場に相応しい人物とは思えませんが、まあ、これでも魔王を倒した功労者ですものね。グラスさん、あんまり気が進みませんが、あなたも対面会に歓迎しますよ」


「そ、そうなんだ、じゃあ遠慮なく参加させてもらうよ」


 相変わらず毒のある言い方である。エルカがレネに会ったら、毒されない様に気を付けてと言っていたが、この会うや否やに放たれる毒を回避することは不可能だろうと僕は感じた。




 思えば王宮内部で開催される華やかな会合に参加するのは初めてかもしれない。冒険者活動や、そんな功績を立てる間もなく追放されたからな、正に上流階級の人が集まる社交界ともいえる会場である。


 そういえばレピティ達も会合の中には参加できないが、参加者のゲストとして別のルームに案内されて食事会に参加しているようだ。


 そんなことを思って部屋に入ると僕は見知った人の姿を目撃した。ドレス姿のゼ―ネシアさんである。


「こんにちは、やはりあなたも参加したのですねグラスさん」


「勿論ですよ、ゼ―ネシアさんはどうしてここに」


「私は勇者パーティーメンバーでも王宮の住民でもありませんが師匠に一緒に来て欲しいと言われたんですよ」


「そうなんですね。流石です」


「いえいえ、そう言えば参加者のゲストが集まる別室にはエイマとセイラも来ていますよ」


「あの2人も来ているんですね」


「ええ、随分と賑やかなことになりそうです」


 正直エルカとレピティだけだと、年齢が低すぎて不安だったんだが、セイラさんとエイマさんもいるなら心配なさそうだな。


 そう僕が思っているとレネが会場の舞台に現れる。


「今日は皆さま勇者パーティー編成のための会合に集まって頂きありがとうございます。先ずは本日の会合の立役者であるセルファシアさんの話を聞いていただきます。それではどうぞ」


 レネが手を差し出すと、そこから勇者セルファシアさんが現れた。


「面白かった、続きが読みたい!」


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