3.術析師論文を作る 前半
「えーと皆さんにはこの魔法陣の構造について調べてもらいますが、これを再現できる人はいますでしょうか」
「はい!」
「えーと確か君はグラス君と言ったか。確か一日体験の方かな、そしたら実践してみてくれよ」
「容易い事ですよ……この魔法陣の構造はこうです」
「す、凄い」
今僕はコルバルテ魔法学園の授業を受けている。以前訪れたときはほとんど授業を受けられなかったから、僕がアルトさんに頼んで授業を受けたいと頼んだら快く受け入れてくれた。
そんな中魔法陣再現の授業を訪れたわけだが、どうも僕は今同じ受講生及び教授からの大注目を浴びている。
「い、いったいどうやって、ここまで綿密に魔法陣を再現できるんだ」
「言葉で言うのは難しいんですよね。頭の中で具体的に構造が見えてしまうと言いますか」
数値化して見えるなんて伝え方が分かんないし、こういうのはいい加減慣れてきた気がする。
「よろしければ今回の魔法陣再現方法の論文を出してくれませんか、報酬は別途でお支払いするので」
「ええ、そんな依頼をしてくれるんですか」
論文が書けるなんて願ってもないことである。こういうのがしたくてアルトさんを尋ねたんだからな。
ちなみにエルカやレピティは今回連れてきていない、2人がいても多分ついてこれないからな。かなりコアな魔術に関しての文献を読み漁ったりもしたいのである。
そして今僕は学園の図書館にいる。論文を書くための文献を探しているのである。
「魔法陣の構成は属性、威力、造形などなど様々な出力方法によって変化させていく必要があるのか」
さらに魔法陣構成の際に必要になってくるのが、構造把握能力である。魔法を出力する際に、魔法陣には負荷がかかる。この反動に耐えうる適切な魔力量を加えて強度を生まなくては魔法発動前に、魔法陣は決壊して魔法発動は失敗に終わってしまうのだそうだ。
「なるほどな、今まで全く失敗したことがないから気づかなかった。つまりは魔法しようというのは想像以上に難しいものなんだな」
魔法学園に訪れて授業内容の中に魔法陣の造形の座学の授業があったが、あの時に叩き込まれた数式はこういった魔力構造把握に役に立つと言う事かな。また数式を構成する要素の中には外部からの衝撃と言った外的要素や、つぎ込む魔力の属性、タイミングなど、様々な要素が加味されていくらしい。
「つまりこう言ったものを認識しないと魔法は使えないってことだよな」
まあ、一部の貴族などは天性の才能からこういった論理を無意識に認識して、魔法が使えているようだが。
「魔法使いっていうのも、かなりの頭の体力を使うから大変なんだな」
まあそんな普段自分の体験からは想像できないことを、少し文献を見ただけで認識することが出来る。これは中々に興味深い、だから魔法学園にきて正解だったとこの時感じたのである。
「それじゃあ、論文作りを始めますかね」
今回教授に頼まれたのは、何故ここまで魔法陣をスムーズに展開できるのかを、僕の体験や経験を元に論文にして欲しいと言う事である。
確かに常日頃フィーリングで行っていた魔法陣の出力であるが、よくよく考えてみたらなぜこのようなことが出来るのかを考えたことがなかった。この際そこら辺を明らかにして言語化し、更に他の人の役にも立てるというのは中々に一石二鳥ではないだろうか。
更にこれまで自分の分析能力を他の人に言葉で伝えようとしても、難しかった。でもそれは瞬間的に説明を強いられた場合においてで、このようにしっかり信頼された上で腰を据えて、しかも文章で伝えるという行為はしたことがない。
これは自分の中でもかなり画期的な試みであるということに気づいてしまったのである。
「ふむ、ふむ、ふむ、この論文つくり、少し本気で取り組んでみたいな」
そう僕は誰もいない図書館で一人呟くのだった。
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