60.プロローグだった話・真相末と決着
冒険者グラスに追放が言い渡された。
「グラス殿を選抜冒険者パーティから追放することにする」
「なんだってー!」
数分後
「痛いって」
「おいもう荷物は王国に置いてないだろうな」
「置いてませんよ、門番も酷い見送り方だぜ」
「何か言ったか?」
「いえいえなんでもありませんよ! じゃあ出ていきますか」
兵にボコされて王都から出ていくグラスを見る王様、その表情には緊張が現れていた。
「ふん娘のためとは言え流石にやり過ぎた気がするな」
「いくらなんでもやりすぎですよ陛下、王国の予算にも限りがあるのですよ。以後このようなことは控えてほしいですね」
「なんだエランコリン、ワシに何か文句でもあるのかのう」
「ひえ、いえ特にはないですよ。ただ今回の作戦はあまりにもリソースが多すぎるのですよ。陛下がお使いになったのは、対SS級防衛線のために備えられている特殊防壁結界マーズです」
ふーむ、かつて魔王の召喚したドラゴンをも退けたという特殊防壁結界マーズ、この強固な結界は外側からは言わずもがなの防御力を誇るが、内側からの防御力も同様のものとなっている。ただ強すぎる神聖ゆえに作られたこの結界は絶対的に主に属するのに適なるものを内にとどめる、故にグラス殿が我がシュレッタ王国にとどまるのに相応しいことを示すのには十分すぎる材料じゃろうな。
「ハイフレード殿と相談して、決めた結果だからな、まあ可愛い娘を納得させるためにはこれくらいしなくちゃのう。王国の威信にかけて万が一でも鑑定システムαが正しいことを証明してやるのじゃ。さてそろそろかのう。グラス殿には防衛線に衝突した段階で早急に謝罪をしなくては」
グラスの様子を見る王様を陰でハイフレードが監視している。今回の作戦を促したのはハイフレードである。
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「レネ様を納得ですか? シュレッタ王」
「ああ、どうもレネが選抜冒険者としてグラスの事を追い出したいみたいでな。何とか納得させたいのだよ」
「成程、そしたら防衛線マーズを使ってみるのはいかがでしょうか」
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「はあ、もう散々だわ。こんな王国二度と来ないし、こちらからごめんだね。さーて新しい拠点でゆったりと過ごしますかね」
オート出力、ガードマジックマーズ魔法陣分析数値化削除出力。
「うん?なんか一瞬何か掠った感覚になったな。気のせいかな。やれやれ今日はついてない」
「パシーン」
グラスがマーズに触れると、神の分析が自動発動して、マーズを消去した。これに伴い王様が見ていた鑑定システムαの選抜冒険者リストの中から冒険者グラスが追放リストへと移ったのである。
なんだと…。これは大変なことになった、しかも防壁システムマーズの防衛線を通過しおった。これはちょっと話が違ってくるぞ。
「陛下これは……」
「ああ一大事だ、至急近くにいる者達を出動させろ、追撃命令だ」
「まさか父上が私の意見を聞き入れてくださるとは……うん?この警報はシステラさん!レジンさん! 緊急出動です! 行きますよ」
「急なことでびっくりしたがなんか面白そうだからついていくわ」
「追撃命令か、面白い」
お二人とも話が速くて助かりますね。
「いました。奴です。早々に取り掛かますよ」
追撃命令が王様から出された時、ハイフレードはひっそりと笑みを浮かべていた。
「ふう、計画通りだ」
僕がマーズに仕掛けていたのは決壊すると、そのきっかけの対象が連動的に鑑定システムαとのパスを断絶されるという、いわばバグ、僕の演算能力をもってすれば容易い事だ。僕の……いや俺のか。
「うっ頭が……うあああああああああ」
ハイフレードは頭を抱えながらもだえるも直ぐに状態を戻す。
「うん? いったい僕はどうしてここに、あれ追撃命令? これは一体どういう事なんだ、でも仕方がない、僕がいかないとね」
ふふふ、全ては計画通り、この俺魔王は、ハイフレードに憑依して人格を都合よく変えることが出来るのさ、お陰で王国にいても自由に立ち回ることが出来る、この傀儡には感謝しないとな。
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「それから俺は王様に言われた通り追撃命令でグラス君、君を追放したわけさ。正に合理的な追放で俺も無事魔王として復活することが出来た」
「成程ね、回りくどい事しやがって、今から目にもの見せてやるぞ」
僕は長ったらしく追放の手回しの計画を話した魔王に対し、渾身の言葉を放つのだった。
「ふん……、君さ……さっきから思ってたんだけど、俺を魔王だと知ってまだそんな口が聞けるのかい? さっきから誰に向かって口を聞いているんだ! ガキが潰すぞ!」
とうとう本性を現したな魔王。
「ああ、今更追放の真相なんて正直どうでもいいんだよ、こっちは既に大切な仲間が出来てんだ、お前の都合でいろんな人を巻き込んで迷惑かけてんじゃねーよ」
「いちいち癇に障る野郎だな。お前忘れたのか? 俺はお前と同じ演算能力を持っていて、解魔石はその上位交換なんだよ。つまりお前が俺に勝つことはほぼあり得ないってことだ!」
ハイフレードがこちらに突っ込んでくる。
「はああああああああ!」
僕は向かってくるハイフレードが纏った魔法陣を分析すると、頭の中で数値化して把握、それを無効化するイメージを解魔石を使って出力した。
「分析……出力!」
「さっきも言っただろうが! お前の出力速度じゃ俺を追いつくことはできな……なっ……どわああああああああああああ!」
するとハイフレードは一瞬で吹っ飛ばされていった。
「ど、どういうことだ……俺には完璧な解魔石があるはずなのに」
「やっぱり思った通りだ、それに僕は術析師だからね演算能力で負けるわけないだろ!」
まあ本当の理由は分からないのだけど。
「術析師だと? 何を意味の分からないことを、そんなのに俺が負けるだと……馬鹿な、こんなことが」
うろたえるハイフレードの元に何者かが接近した。
「どうやらセルファシアと魔王の能力が融合したグラスさんの能力は想像を超えていたようですね」
「ゼーネシアさん無事だったんですね!」
「ええ、瀕死状態でしたが、自動復活を事前にかけておいたので。なんとか生き残れました」
魔王はうろたえながら呟く。
「そんなことがあり得るのか……」
そんな様子を見ながら僕は冷静に口を開くのだった。
「あのすいません、そろそろハイフレードさんを出してくれませんか。ちょっと魔王様だと話にならないみたいです」
「な、何を言っているんだ?」
その時周囲の空気が一瞬だけ静かになる。
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