59.プロローグだった話2
術析師グラスが選抜冒険者に選ばれた時鑑定評価Eが下されていた。その時周囲からの評判は最悪なものだった。それはグラスが選抜冒険者に選ばれた過去に遡る。
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ここはシュレッタ王国王の間、選抜冒険者達の名前が宰相エランコリンにより呼ばれていく。
「現在鑑定システムαはキミたち4人を選別した、その中でたった今システム解析が完了した。記念すべき選抜冒険者たちのスキル開示を始める」
王宮の人々に緊張が走る、選抜冒険者招集、数多の猛者たちの中から選ばれた4人は一体どんな凄い能力を持つのだろうか、固唾をのんで見守ることになる。
「解析結果は以下の通りとなった」
評価名「エクストリーム」鑑定適正ジョブ「ソーサラー/A+」レジン・ロード
評価名「プライマルヒール」鑑定適正ジョブ「セージ/S」レネ・シュレッタ
評価名「ホーリーソード」鑑定適正ジョブ「クイーンセイバー/A+」システラ・レーラ
評価名「マジックアナリティクス」鑑定適正ジョブ「エレメンター/E」グラス・グラィシス
「以上の4名をシュレッタ王国直属の冒険者パーティとして任命することにするが何か意義のあるものはいないか」
その時レジン・ロードが口を開いた。
「ちょっと質問なんですが、セージのお嬢ちゃんの名前がシュレッタってなってるんですが、これは王族の方なんですかね」
「そうだな、レネは我がシュレッタ家の第二王女、本人の熱い要望があって今回の冒険者選別に加えることにした。勿論他の参加者とは同じ条件で受けさせたから、実力はお主にも劣らぬと言えるだろう。」
「レジン様、レネと申します、弱輩者ですがどうぞよろしくお願い致します」
「ふーん第二王女様が冒険者パーティにねえ、おもしれえじゃねーか、くれぐれもダンジョンで足引っ張らないようにな」
「貴様、御令嬢であるレネ様に対して無礼だぞ!」
「よいよい、レジン殿ぜひとも我が娘の面倒を頼むぞ」
「っす了解っす!」
落ち着いたかに思われたこの状況の中、レジンの隣にいる金髪で鎧を来た少女が口を開く。
「フン、口の利き方も分からぬとは、見たところロード家出身のようだが、ロード家は少し前に没落したと聞いたな。あの名門がどういう原理で没落したかは知らんが、自ずと貴様の態度を見て納得した。所詮礼儀も分からぬ、愚か者を有した一族にお似合いの末路だろうな」
「何だとテメー」
「頭が高いぞ、私は神聖なるレーラ家の当主システラ、何人たりとも高貴なる我が名を汚すことは許さぬ」
「ハァ高貴なこったな、型に嵌ったエリート様はやっぱり真面目ですね、実践になったら俺の元に泣きついてくんなよ」
「なんだとレーラ家であるこの私をコケにしたな、貴様ああああああ!」
「静粛に、ここは王の間であらせるぞ、私語は慎むように」
「はい……」
「フン」
「今回の話はここまでとする」
「ちょっと待ってくれ、僕の鑑定スキルレベルなんだが、Eってどういうことだ」
その時辺りに笑いが起きる。
他の選抜者が喋っている時とは大違いな空気感。王国の従者たちを始め、同じ選抜者のレジンやシステラ迄一緒になって笑いが起こっていた。
「おい何笑ってんだ、失礼じゃないのか、僕も選抜者の一人なんだぞ」
その時レジンが僕に近づいてきて面白がった目でこちらを見てくる。
「説明も何もスキルレベルEってことは底辺、つまりはお前の能力は鑑定システムαに雑魚認定されたんだよ。鑑定システムはSSSからEを測定するからな、要するにお前のスキルレベルが弱すぎて話にならないってこと」
「なんだよそれ! だったらスキルレベルを今からあげればいいってことなんじゃないのか?」
「馬鹿かお前、スキルレベルはその者の潜在能力、つまりは魔法量を表すんだよ。あげるなんてできねえし、そんなことも知らないのか」
「……なそんな……」
「ていうか貴族はおろか、末端の兵士でもスキルレベルDは超えるぞ、俺の身内の出来損ないでもC以上はあるしこんなやつ初めて見たわ。おいおいお前どっから紛れてきたんだ? 不正したんじゃないよな」
「フン、見たところ辺境の一般人と言ったところか、あらかた王国もこんな奴に召集をかけた時点で、相当苦しい状況だと見て取れる。貴様不正を働いたならとっとと白状したらどうだ」
周囲の王宮の人々もざわつき始める、そうそうたる選抜者の中からまさか一般兵クラスのレベルEのスキルレベルを持つものが選ばれるなんておかしい、あいつ不正を働いたのではないか、そう言わんばかりの視線をこっちに向けてくる。
「はあ、不正なんか働いてねえよ」
その後も王宮の人々の俺に対する疑心の声のざわめきが止まらない。その時シュレッタ王が凄まじいオーラを放つのであった。
「静まれ!」
辺りは凍り付く、歴代王の中でも最も覇者のオーラが強いと言われるシュレッタ王は半端ではないことが、この時周囲の人々が実感していた。
「貴様ら我がシュレッタ王国の鑑定システムαにケチを付けるか。歴代の世代から受け継がれて完全無欠を誇ってきた鑑定システムαこの力は絶対、それを信用できないなら王国への反逆行為とみなすぞ」
辺りは一瞬で静まり返り、皆反省したようだった。
「とはいえだスキルレベルEの件は前代未聞だ、ひとまずその真偽を確かめるために冒険者4人には早速初陣の命を出すことにする。冒険者グラスの実力はそこで分かるだろう、文句があるものいるか」
「異論はありません!」
王宮の人たちはシュレッタに忠誠を全力で示すかのように一斉に同意を示したのだった。
そんなこともあり、グラスは選抜冒険者として初陣することになったわけだが結果は案の定散々、ただ表向きではレジン達もシュレッタ王の意向に反さない様に、グラスを励ます形をとっていたため、グラス自信は周囲から信頼されていると感じていた。
しかし裏ではグラスの評判は、王国場内の人々でも最悪のものだった。
「やっぱりあいつ不正働いてたんだってな、全然クエストで役に立たなかったそうだ」
「俺もおかしいと思ったよ、まさか普通の一般人が王国選抜勇者に選ばれるはずがないし、しかしあの鑑定システムαにどうやって細工したんだろうな」
「知らねえ―、結構セキュリティはザルだったりしてな」
「まさかねええ」
「衛兵の君達裏で人の話をするのはよくないよ、各々の業務遂行に迅速に取り組んでくれ」
「ハイフレード様! 大変失礼致しました。至急持ち場に戻ろうと思います」
グラス君っていったけ、ここ数日の騒動でずいぶん有名になったんだなあ。
「さて、王様に報告でもするとしますかね。うん?」
「あいつは足手まといすぎて消さないとだめだ、今すぐにでも手を打たなくてわ」
あの白髪で相変わらず華奢な体で優美な様子はお嬢様ではないか。何かあった様子だが。
「おおレネお嬢様じゃないか、久しぶりだね」
「ハイフレード様!お久しぶりでございます。今日は何用でこちら迄」
「いやあ、折り入って王様から請け負っていたランクS級任務を片付けてきたところでさ、今からその報告を王様にしようと思っていたんだ」
「ランクS級任務を!? やはり流石ですハイフレード様、今度ぜひとも二人でお茶を致しましょう!」
「うんいいね! 楽しみにしておくよ。じゃあまたね」
「……あっちょっと待って下さいますか」
「うん?どうしたんだい?」
「そういえば王様は今から急用ができたと言って身支度をしていましたの。報告は後日するべきだと思いますわ」
「へえ、そうなのか報告ありがと!また別の日に尋ねるとするよ」
「はいお願い致します!」
ま、裏で君の話は聞かせてもらうけど、レネ王女様。
「それでは行きますか!」
王都の間にてシュレッタ王にレネが相談を投げかけている。
「シュレッタ王、レネお嬢様がお話があるとのこと」
「ふーむレネがか、よろしい通せ」
「お父上、折り入って相談があるのですが」
「お前が相談か珍しいな、いいぞ何でも言ってみろ」
「話を聞いて下さり感謝です。ご相談内容はあの選抜者グラス殿についてです。グラス殿を冒険者パーティから外していただきたく思います」
「ふーんグラス殿をか、何か前回のクエストで問題でもあったのか。理由を聞かせてもらおう」
「はい、御父上の耳にも噂が入ってきているかもしれませんが、冒険者グラス殿は前回のクエストで全く役に立ちませんでした。分析と言っておかしなことを呟くことしかせず、正に囮としてとしか役に立ちません。これから活動する上で私はグラス殿と冒険を続けられる気がしないのです」
「ふーむ、とは言えグラス殿も一応は鑑定システムαに選ばれた身分だし、そうやすやすと手放すわけにもな」
「チっ…」
「うん、どうした喉の調子が悪いのか」
「いえいえなんでもありませんはお父上、確かにグラス様は鑑定システムαに選ばれた身分です。無下に扱うことはできませんね」
「そうじゃろ」
「……」
「分かった、一先ず一考はしておくがあまり期待しないようにな」
「はい……」
それから仕方なく王の間をさるレネ、その会話を裏で密かに聞いているハイフレードはあることを考えていた。
「成程ね、シュレッタ王は鑑定システムαに固執してるため、システムがグラス君を選抜冒険者から外すことを下すまでは、追放したくないと言ったところか。今までの冒険者も追放されたのはシステムによって冒険者を外されたものだけだったしな。一方レネお嬢様はグラスをクビにしたいと言ったところかな」
これはグラス君を王国から追い出す方法が思いついたかな。
ハイフレードはグラス追放へと動き出すのであった。
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