56.一撃
「この力……そうかセルファシアの切り札はキミだったか」
ハイフレードは僕の周囲をほとばしる魔力を見て高揚する。
「いいね、面白いよグラス君、この魔力本気のセルファシアを思い出す」
そう言うと何か考え事をしたかのようにハイフレードは天井を見上げる。
「ここはちょっと狭いかな」
天井を見上げるハイフレードは天井を突き破って上へ駆けあがる。
「舞台を変えようか。ここからは上空で戦うことになるけど構わないよね」
「待てっ」
僕はハイフレードについていく。
「さてここが最終決戦の舞台だよ」
気が付けばシュレッタ王城の天井が足元のさらにその下に見える。かなり上空までやってきたらしい、周囲の空は黒く漆黒の雲に覆われていた。
「さあ、グラス君そろそろかかってきたらどうだ」
「望むところだよ、ミルティ来てくれ!」
解魔石が光り輝くと、見慣れた黒髪長髪の少女が出現した。
「グラスさん呼んで下さりありがとうございます。またよろしくお願いします」
「ミルティ、今回の敵はかなり手ごわそうだから気を閉めていくよ」
「分かりました」
僕とミルティはハイフレードに意識を集中する。
「精霊か、面白いね、そしたら僕も使わせてもらうよ。いでよへルテラ!」
「ドドドドドドドドド」
なんこいつは、鑑定システムαが変形した。黒い銅像? どことなく悪性ホルテラ様の姿の面影を感じるような……。
「気づいたかな、君達が倒した悪性ホルテラ様の僕の魔力を抜いた残りの外形がこの鑑定システムαが変形したヘルテラに蓄積されたんだよ。ヘルテラは器のようなもので魔力や実態のある物を自由自在に変形しながら中に収容することが出来る。鑑定システムαの正体は俺の契約精霊ヘルテラだ」
「なんだって!」
「ホルテラに以前仕込んだ俺の魔力は非常時故の物だった。もし俺がやられるようなことがあれば復活をするためのいわばトリガーのようなものだ。そして再び俺たちが巡りあった時覚醒が始まる。俺を精神世界に閉じ込めたのはいわば俺に魔力を入れるための繭、そして自らがやられた時俺が復活、外形はヘルテラの中、つまりは本来あるべきところに帰ったと言う事さ」
人格を持っていた悪性ホルテラもこうも無残な姿になるのは、敵だったとはいえ中々胸が痛いものである。
しかし凄い違和感だ。たとえ正体を現したとはいえ、あの温厚なハイフレードとは思えない言動や行動の数々、まるで別人と喋っているような感覚である。
「さて、グラス君、先ずは小手調べと行こうか。このへルテラを先ずは倒してみるがいい」
悪性ホルテラを吸収したハイフレードの契約精霊へルテラ。その魔力はかつてないほどの強さを感じる。
「ミルティ、精霊術・滅を使うぞ」
「分かりましたグラスさん」
僕はへルテラの纏う魔法陣を分析して、頭の中で数値化、ミルティにありったけのヘルテラを倒す数値の出力を与える。
「何をしようが無駄だ、へルテラには全ての魔法態勢を備えられている。こいつに魔法は通用しないんだよ」
「精霊術・滅」
「ドゴオオオオオオオオオン!」
ミルティの手から放たれた凄まじい閃光によってへルテラは一瞬にして塵となった。
「なっ……」
「ふう、やったなミルティ!」
「はい、グラスさんとの親和性がここに来てかなり上がったと感じました。私達もっともっと強くなれますよ!」
「えへへ、そうかな」
ハイフレードの精霊ヘルテラは登場間もなく、あっけなく消滅してしまったのであった。
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