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55.真相1

「この際だから明かしてもいいかな」


 自分が魔王であることを明かすハイフレードは今これまでの計画の全貌全てを語りだす。


「ほら鑑定システムαで選ばれた選抜冒険者って、度々王が追放しては使い捨てにしてたでしょ。彼らは処分された後、この鑑定システムの中に魔力が蓄積されるんだよ。鑑定システムαは俺の魔力を持つ人物を選抜冒険者として選び出す。そして集めた魔力が上限に近づいていくと機能が落ちていくんだ。だから王様は異変を感じてたんかな。後は魔王軍ってあったでしょ。アレの正体、実は俺の魔力が分散して出来たいわば欠片みたいなものなんだよ。倒すと選抜冒険者と同じくシステムに魔力が蓄積される。だから魔王軍を倒してくれる選抜冒険者がいたほうが効率的哉って思って選抜冒険者の制度を鑑定システムαで王様を洗脳して俺が促したんだ。そして最後に蓄積された鑑定システムの魔力は破壊をすることで俺の元へと送られる。またその後は機能だけ自動修復もされる。ただ誤算として洗脳で自我を失った王様が暴走して選抜冒険者を解体するとか言い出したから仕方なく王様を葬った」


「……」


 突然早口でまくし立てるハイフレードに僕は圧倒される。


「魔力が集まらないうちは記憶も消えてたんだけどさ、魔王軍がやられていく内に徐々に戻ってきたんだよね。そんなとき俺の魔力を持ったホルテラが目の前に現れたんだ」


 それは悪性ホルテラ様の事か……。


「俺が会ったホルテラ様、最初は記憶がないから何者かなと驚いたよ。ここまでの魔力は俺の欠片とも思えなかったからね。それにいきなり現れたと思ったら精神世界に閉じ込められてさ、声だけ聞こえるんだよ。私がだめだったら任せるって。それで気が付いたらここに戻ってきたんだけど、やられちゃったんだねホルテラは。それで記憶が戻った今なら分かるんだけど、勇者セルファシアとの戦いで削げ落ちた俺の魔力、それはあいつの契約精霊のホルテラの元に流れていたんだね。しかもそれも俺が勇者セルファシアにやられた時復活の保険の時の作戦だったってわけ」


 やはり悪性ホルテラには魔王の魔力が宿っていたのか、あの量の魔力が戻ったと言う事は……。 


「俺も足りない記憶の中焦ってたんだよ。いやむしろ中途半端に記憶が戻ってるから焦ったのかな。選抜冒険者たちのお陰で魔王軍の大半を片付けることが出来た、それに加えてシステムを壊して魔力を回収しても、記憶は未だ曖昧だし力も戻らない、王様になって躍起になったりもした」


 ハイフレードは片手で頭を押さえて、首を振る。


「でももう力の殆どは復活したようだよ。大体98%ってところかな。やっぱりホルテラに移った俺の魔力がかなり大きかったみたいだね。いやあ本当にまさかの収穫だよ。ホルテラに忍ばせた魔力は復活のために俺が密かに忍ばせていた復活のためのトリガー、一定以上の魔力が宿った時僕の元へ引き寄せられる、無意識にひかれるように幹部を全て倒し条件を満たす量の魔力が宿った俺の元にホルテラが引き寄せられたってわけ。まあ一見偶然に見えて全ては全盛期の俺の計画通りだったってわけさ。後は君達鑑定システムαで最後に選ばれた4人を吸収して完全復活だ」


 つまり要約すると、ハイフレードの奴は完全復活のために、僕とレネ達選抜冒険者を捕らえるつもりなのか。


「来るなら来いよ!」


 上等だやってやる、今の僕ならハイフレードにだって勝てるはずだ。


「話はもう終わりましたか」


「っ!」


 ゼーネシアさんがその時口を挟む。


「ああ、随分と待たせたね。もう話し終えたよ」


「そうですか、しかし残念でしたね。私は勇者セルファシアと互角の力を持つゼーネシア、あなたは再びセルファシアの力で葬られます!」


 ゼーネシアさんが突然ハイフレードに突っ込む。


「いやあ、それは流石に無理があるでしょ。セルファシアの力ってもっとこう、底がなかったっていうか、俺の無尽蔵の魔法ってイメージがあったんだけど、そのセルファシア最大の特異性がゼーネシアさん? 君には感じられないな」


 ハイフレードの言葉を聞き、足を止めるゼーネシアさん。


「成程師匠の特異性ですか……ホルテラ様、悪性ホルテラが私に師匠に達してると言っていたのは本当の事ですか」


「……いやあいつ自体は私の一部だから記憶が欠損していたのだろう。確かにお主はセルファシアの自力は継承しているがその特異性までは継承できてない」


「そうだったのですね……私も師匠の戦闘はあまり知らないのですが、それでも何かが足りないとは感じていましたがやはり……少々思いあがっていたようです」


「ただそこにいるではないか。セルファシアの力に匹敵する力を持つものが。お主が与えたセルファシアから引き継いだ魔具、それを使いこなすものが」


「ええ、そうでしたね。私の目論見は当たったと言えます」


 ゼーネシアさん達が僕を見てくる。その時念話で僕に勇者セルファシアの特異性について説明をしてくれた。





「えええ! それって僕が勇者セルファシアの力をですか? しかもこの解魔石って勇者セルファシアの魔具だったんですね」


「今まで黙っていてすいませんグラスさん。確かにグラスさんが持っている解魔石は師匠の魔具、そしてあなたの力は今判明した師匠の特異性を継承しています。私も今まで確信がなかったのですが今分かりましたよ」


 念話が切れる……しかし僕の力はセルファシアさんの力が宿って発現したのか、どうりで強いわけだ


「ただグラスさんの場合それだけではないようですけどもね。さて確かに私は力不足かもしれません。それでも最後まであがかせてもらいます! 行きますよホルテラ様」


「ああ分かっておるわ」


「魔力付与【セルファシア】、はあああああああああ」


「やれやれ、無駄なことを」


「シュン」


 その時ゼーネシアさんを一瞬でハイフレードが倒してしまった。


「ぐはっ、ここまでとは……」


「いや、だから言ったでしょ、セルファシアの特異性なしで僕に勝てるわけがないって」


「ゼーネシアさん!」


「グラスさん後は任せましたよ……」


 ゼーネシアさんは倒れてしまい、同時に発現していたホルテラ様も消える。


「ふん、さて勇者セルファシアの切り札ゼーネシアさんも倒したことだし、グラス君後は君だけだ。おとなしく俺の力の糧となるんだ……っ!」


「おとなしく聞いてればいい気になりやがって! お前のせいでみんなが辛い思いをしたんだぞ」


 解魔石の魔力を僕は放出して空気を振動させる。


 今最後の戦いが始まろうとしていた。


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