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52.突入

 僕達ギルドオルトレールの面々は今シュレッタ王国にいる。遂に悪性ホルテラ様捜索が始まろうとしていたのである。


「これは随分と様変わりしてしまったな」


 王城の城壁は無惨にも破壊され荒れ果てている。窓ガラスはそこら中割れていて、中に人の気配も全くしない。


 上空は混沌と黒く渦巻いていて、激しい紫色の雷がほとばしっている。


「うむ、正に地獄絵図という奴か?」


「うまい事言いますねエイマさん」


「馬鹿が、軽口を叩いている場合ではなかろう」


「そうですね」


 王国奪還作戦において僕達は主に負傷者の救護をする支援班と悪性ホルテラ様確保の突撃班に分かれていることになる。


 突撃班は少数精鋭という事で僕とエイマさん、そして案内役のレネとキルティオの4人だけのつもりだったのだが……。


「ご主人様……あの約束覚えていますか?」


「グラスううう! 今度こそ抜け駆けはさせんぞ?」


「はいはい……分かってるよ2人とも」


 ヘイズ戦の時やトーラス聖堂の事でしばらく一緒に戦えなかったエルカとレピティ、強い眼差しに負けて僕は突撃班に2人を加えることにした。


「みんなあああ! こっちは任せてねえ」


「ガッチリと怪我人を俺達が救護するぜ!」


 セイラさんを中心に支援班のみんなのやる気もかなりの物である。この調子なら心配はなさそうだな。


「よしじゃあ皆突入するぞ」


「うおおおおおおおお」



「やれやれうるさい連中ですね……少しは静かに出来ないんですか」


「レネお嬢様、私達も先を急ぎましょう」


「ええ、行きますよキルティオ」


 レジンさんとシステラさん達は無事なのでしょうか。2人とも直ぐに助けに向かいますよ。それにハイフレード様は何処に行ってしまわれたのでしょう。


 あの方の事ですから考えあっての事でしょうが……まさか魔王側に寝返ったなんてことはないですよね。






「ここでいいんだな」


「ええ、魔力感知から王の間に魔力が集中しています」


 僕達突撃組は王の間までやってきた。


「私もそう思うぞ」


 エルカとレネの魔力感知能力は互角と言ったところだろうか。流石姉妹聖女と言ったところだ。


「しかし相変わらずこの派手な装飾品の扉は腹が立つな」


 思えば僕が王国を追放されたのはこの王の間である。ここでムカつくことに王様達に追放を言い渡されたのであった。


「なんだかグラスの奴やけに張り切ってないか」


「そりゃあ、まあ僕にとってここは因縁の追放被害に遭った場所だからね」


「被害って……くだらないですね」


「いやお前が原因だったんだろうがレネ」


 こいつの白々しい態度は相変わらず腹立つな、はっきり言ってやりたいが今は後回しだ。


「そんなことは今いいです、早速開けますよ」


「ドドドドドドドドドド」


 派手な装飾品に覆われた巨大な王の間の扉が開く。




「ふふふ、よく来たなお前ら。絶対来ると思っていたぞ」


「貴様! 賊風情が我が王の座にふんぞり返るな!」


 レネが声を張り上げる。扉の先では悪性ホルテラ様が堂々と王座で足を交差させながらくつろいでいた。


「おい、あれはレジン達じゃないか」


 悪性ホルテラ様の座る王座の隣にはレジンとシステラが倒れていた。


「ははは、こいつらはよくやったぞ国のために。だが全然力及ばずだったがな、どうだ悔しいか?悔しかろうなあ! はははははははは!」


 悪性ホルテラは倒れているレジンとシステラを足でつつく。


「貴様、2人に触れるな!」


「……」


 レネとは対照的に黙る僕達、かなりの温度差である。


「はははは、そこのお前は良いように喚くな! 気分がいいぞ……ん? なんで他のお前達は黙っておる。ほらもっと感情を顕わに悔しがったらどうだ」


「い、いや……僕は別に……な、なあ」


「うんうん」


 エイマさんとエルカが特に頷く。レピティは苦笑いである。


「むしろもっとやっちまえ! って感じだ」


「は、はああああ? 貴様王国のために戦った2人の英雄をこんなんにされてなんだその態度は!」


「いや、別に僕は王国の人じゃないし」


「な、何を言っているんだ。いや待てよ、お前は確かトーラス聖堂で私をぶちのめした」


「えーとホルテラさん? 今は魔王を名乗っているんでしたっけ。おとなしく投降することをお勧めしますよ」


「き、貴様ああああああ! 私は貴様を許さんぞグラス! いでよ闇の使徒!」


「ジャキジャキジャキジャキ」


 何だろう漆黒の鎧をまとった人型の兵士が10体ほど動き出したぞ。


「ははははは、私の魔力を纏わせた私専用の兵士だ。1体1体恐ろしく強いから気を付けるんだな」


「囲まれてしまいましたね。どうしますか」


 うーんこれは困ったな、一気に倒してもいいけどみんなを巻き込みそうだ。


「うわっ」


 闇の使徒の1体が早速剣を振り回してきた。


「キルティオ!」


「ハッ」


「ガキイィィィン」


「私が援護します、前衛をお願いしますよ」


「了解です」


 レネ達が戦いを始めたみたいだな。3体ほど請け負ってくれるみたいだ。


「ご主人様!危ないです」


「ん?」


「はあああああああ」


「ドカアアアアアーン」


 僕に不意打ちをかけてきた闇の使徒1体がレピティの打撃で吹っ飛ばされた。


「あれどういうこと、レピティってこんなに強かったっけ」


「エルカさんの支援と、私の急加速パフを合わせた技ですよ。素早く豪快に接近戦が出来ますよ」


「ほうほう、いつの間に2人はそんなコンビネーションを」


 言われてみればレピティの後ろでエルカが支援魔法を構えている、僕がエルカの方を見るとやってやったと言わんばかりに、笑顔でピースをしてきた。


「はああああああ! 《剣閃乱舞》」


「ドカドカドカドカドカ」


 やっぱりエイマさんは凄い、一気に闇の使徒4体に剣劇を浴びせて押している。


「おいグラスこっちは大丈夫そうだぞ。お前は目の前の悪性ホルテラをぶっ倒してやれ」


「分かりました!」


 僕は悪性ホルテラの元に歩み寄る。


「き、貴様あああああ来るなあ! いけお前達!」


 悪性ホルテラは残りの闇の使徒2体を僕にけしかけてくる。


「やれやれ、そんなやつらで……」


 手元の解魔石を解放する。


「僕に勝てるわけがないだろ」


「ボロボロボロ、ガタッ、ガタッ」


 僕は瞬間的に闇の使徒2体を分析して、魔法陣を数値化、頭の中で決壊するようにイメージして出力、機能停止させた。



「くっ、やっぱり厄介な奴だな。私直々にやるしかあるまい」


 遂に悪性ホルテラとの本格的な戦いが始まるのであった。


「面白かった、続きが読みたい!」


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