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51.合意

「グラスさん悪性ホルテラとは何の事ですか」


「いやまあ、それはあれだよ」


 参ったなあ、まさか僕達が原因で王国が壊滅してしまったとは、まあ王国に対してあまりいい感情はないのだけど。


「そんな事より、お前達王国がなんの用なんだよ」


 とりあえず話題を逸らしてみる。


「いやその件なんですがね、その……救援の方をギルトオルトレールの皆さまに頼みたいのですが……」


「はあ、自分達のやってきたことを知っていてのセリフなのかそれは」


「それは……皆様には悪いとは思ってますよ、だからこうして膝を曲げて謝っているのです」


「レネお嬢様そこまでしなくても!」


「黙りなさいキルティオ! あなたも頭をさげるんですよ」


「は、はあ!」


 本来なら今更謝られても困ると言いたいところだ……王様はエルカにひどい事をして自業自得だし、僕をボロボロにした挙句王国から追放したレネ達王国連中がどうなろうと僕の知った事ではないのだ。他のギルドの皆も王国の策略でギルド遠征の時に命を落とされかけたはずだし怒りを出しているあたり同じ意見だろう……がちょっと状況が変わってきてしまったな。




「本当にすいませんでした」


「……」


 長時間膝を曲げて頭を下げるレネを見て、皆は沈黙する。そんな中エイマさんが最初に話し出した。


「な、なあグラスよ、どうやら王国を襲ったのは悪性ホルテラ様のようだしあながち私達にも責任がありそうな感じだぞ。レネも謝っていることだし、ここは了承をしてもいいのではないだろうか」


「うんうん」


 何だ、何だ……ちゃっかりさっきまでレネにヤジを飛ばしていたやつらも首を縦に振っているのだが……ギルド全体の責任だとみんな感じているあたり、あんなヤジ飛ばしてたやつらも悪い奴らじゃないんだよな。


「そうですね……」


 しかし言われてみれば、確かに悪性ホルテラ様を放ってしまったのは自分達だし、そこに関して示しは付けないといけないかもしれない。


「おいレネ、頭を上げていいぞ、僕達はお前の提案を受け入れてやることにした」


「本当にいいのですか? 私達のこれまでの酷い行いを許してくださると」


「いや、許すというよりは、実はあれだよ、その魔王って奴を解き放ったのは僕なんだ」


「は? はあああああああああ?」


 ギルドオルトレールにレネの叫び声が響き渡ったのであった。


「だからまあ、僕にも責任がないわけではないんだ。そういうわけで今回の件は引き受けてやることにする」


「ふざ、ふざけるなよ! お前が原因じゃないか」


「おいおいおい、僕を恨むなよ。そもそも王国の襲撃がいずれ来るはずの困難だったはずだろうが。脅威に備えられなかったのが悪いだろう。それに、ハイフレードが消えたなんておかしいだろ。前言ってた通りあいつももしかしてグルだったんじゃないのか」


「そ、それは……」


「何か思い当たる節があるようだな」


「確かにハイフレード様には以前言っていた通り不可解に思われる点がたくさんありました。それに関しては同意致します……。しかし彼の内政ぶりを見ていると、どうもそんな気持ちが湧かなくて……」


「この問題は多分繋がってると思う。それを皆で確かめに行くんだ。誰が悪いとかじゃない」


「そ、そうですね……」


「それじゃあ、行くぞみんな王国へ」


「うおおおおおおおお」




「おいレネ、私もお前の愚行を許したわけではないが、少しうれしいぞ、謝ってくれて」


「エテラカネルカ姉様……私は間違っていた気がします。今までは他人を利用することしか考えていなかった私ですが、システラさんとレジンさんの決死の防衛を見て、王国のために、人のために尽くすと言う事が大切だと言う事を学びました」


「ふむ、少し心掛けが変わったようだな」


「じゃあ目的地の王国に行くぞみんな」


 こうしてギルドオルトレールの皆で王国の調査に行くことになった。目的は当初の通り悪性ホルテラの確保と、レネの依頼王国兵の安否の確認である。王国を助ける形になってしまったのは不本意だが、これも仕方のない成り行きと言えるだろう。




「グラスよ、しかしお前随分とうまく言い逃れしたな」


「え? エイマさん、何のことですか」


「いやほら、だって悪性ホルテラ様を放ったのは我々だし、それが原因で王国が襲撃されているわけだからな。ハイフレードのグル疑惑がなかったらまずいなと思って。よくとっさに思いついたなと」


「そ、そうですね。自分も焦りましたよ。でもハイフレードが負けるなんてどう考えてもおかしいじゃないですか。やっぱりそこは追及しとくべきじゃないかって」


「流石の着眼点だな、やはりグランドマスターの洞察力というやつだな」


「や、やめてくださいよ」


「ご主人様ああ、行くんですね」


「ああ、王国に、これが最終決戦になりそうな予感がするからな」


 魔王軍幹部の出現の話はここ最近聞かなくなっていたため、ほぼ滅びたかに思われていてた。レネの話によると王国を最後の魔王軍幹部を名乗るロシュレビスが攻めてきたことが分かり、それを倒した今悪性ホルテラが最後の敵である。


 そして悪性ホルテラのことを僕達は魔王ではないと知っているため、これで魔王軍はすでに壊滅したのかもしれない……いや、そんな簡単に行くわけがないだろう。悪性ホルテラによるハイフレードの消失、これは明らかに何かある、もしかしてあいつが……。

「面白かった、続きが読みたい!」


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