50.接触
悪性ホルテラ様が精神空間から脱走した情報はギルドオルトレールの皆の元にも広まっていた。魔王軍幹部以上の脅威が放たれたと言う事もあり、かなりの緊張感が周囲から感じる。助っ人として、周囲の戦える人も招集したとエイマさんが言っていたが……。
「グラス、そしたら第一捜索隊はお前らに任せていいか」
「分かりましたエイマさん」
「魔王の欠片が混じったホルテラ様か、中々手が掛かりそうだけど魔王軍幹部を倒した俺達なら何とかなるだろうぜ。それになんたってグラスさんが付いているからな」
「やめてくれよお前ら」
相変わらずの期待の眼差しを向けてくるギルドのメンバー達。ありがたいことだが、毎回反応に困るんだよな……。
「それじゃみんなでホルテラ探しをするぞ! まずは準備からだ!」
「うをおおおおおおおおお!」
それから僕は少しアイテム整理のためにレピティとエルカと一緒にギルドを離れることにした。
セイラさんやエイマさんも少し用事があるとギルドを離れている。
そんな中再びギルド近くに訪れると、何やらうちのギルドらしからぬ、騒がしい声が聞こえ異変に僕は気づいた。
「ご主人様! これは何か問題があったみたいですよ」
「あ、ああ今すぐ急ごう!」
「謝罪! 謝罪! 謝罪! 謝罪!」
そして僕が急いでギルドへ向かうと、ギルドのみんなに囲まれて謝罪を要求され膝を曲げて頭を下げようとしているレネがいたことに気づいたのであった。
「こ、これは一体どういう事なんだ?」
「グラスさん!」
僕がギルドに入ると一瞬で冒険者たちは我に返ったかのようにヤジをやめて、僕の方を向くのだった。
「聞いてくださいよ! このいきなり尋ねてきた王女様は実は俺達の雲の都市でのギルド遠征を妨害した主犯格だったんですよ」
大体そんなことだろうとは思っていたけど……しかし自分の悪行がみんなにバレちゃったわけか……それはこうなるのも文句は言えない。
「それは……最悪な事だな。でも何でみんながそんなことを知ったんだ」
「そこの傭兵が俺達に映像を見せてくれたんだよ」
そこの傭兵?
「ギクッ……お、お前は!」
「あああああ! ご主人様! この男知ってますよ、冒険者狩りのエルゴルです」
レピティはエルゴルを指さすと彼が元冒険者狩りであったという事を暴露する。
「ぼ、冒険者狩り? っていう事はこいつ俺達の敵じゃねえか!」
「お、おい、お前ら、確かに俺は冒険者狩りだった身分だが今はちゃんとした傭兵なんだよ……招集クエストに参加しようとして」
成程……エイマさんが協力を掛けたのは傭兵だったのか。しかし人材選別はもう少し慎重にしてほしいと思う。
「ふざけんな! 冒険者狩りだった奴の味方なんて俺達はするつもりはねえからな! はやくでてけ!」
「そうだ、出てけ! 出てけ! 出てけ!」
レピティの暴露で今度はエルゴルがギルドの皆からヤジを飛ばされることになる。
「て、てめえら! いい気になりやがって。調子乗ってんじゃねえぞ!」
エルゴルは一人の冒険者に殴りかかった。
「おい、やめろうちのギルドの者に手を出すな」
「いてえええええええ!」
その時エイマさんが現れて、エルゴルの手を掴み後ろに回して拘束した。
「ひ、ひええええええええ!」
エルゴルは悲鳴を上げて逃げていくのだった。
「な、なんだったんだ」
「エイマさんももう戻ってきたんですね」
「セイラももうすぐ戻って来るぞ。しかしそろそろ移動の準備が整ったのだけど……これっていったいどういう状況?」
確かに今状況は混沌としている。簡潔に把握するにはやっぱりレネに尋ねるのがいいだう。
「な、なあレネ、何があったんだ」
僕は膝を曲げながらさっきからずっと黙って、俯いているレネに話しかけるのであった。
「私の王国が……崩壊しました」
「な、なんだって?」
僕含む冒険者一同は王国が崩壊したことを聞き、一瞬で空気が凍り付くのだった。
「王国が崩壊しただって? そんなことあり得るのかよ。ハイフレードはどうなったんだよ」
「……」
「キュイイィィィィン」
「あれは転移陣?」
その時突然転移陣で男が現れる。あれは確かレネにいつも仕えていた……。
「キルティオ! 無事だったのですね」
「ええ、なんとか治療も済みました!」
治療? 2人にはかなり波乱があったようだ。
「お嬢様……あまり無理をなさらずに。《痛みの分散》のスキルが限界を超えて切れていますよ。そこまでお二方の事を思っていらっしゃったなんて」
「……」
レネはキルティオにさっき起きていたことを話さなかった。これは気づかいなのだろうか。
「レネお嬢様は現在酷く疲労していらっしゃる、変わりに今回私の口から説明をさせていただきます。現在王国は壊滅状態にあり、ハイフレード様は突如現れた赤髪の少女を前に、突如姿が消えて行方不明になりました」
「赤髪の少女ってまさか」
王国兵を壊滅させるほどの力を持つ赤髪の少女、思いつくのは1つしかない。
「おい、それってもしかしてグラスが言っていた悪性のホルテラ様なんじゃないか」
「……」
エイマさんに痛いところを突かれるのだった。
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