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45.悪性

「ハッ」


「あら、グラスさん目を覚ましました?」


「ゼーネシアさん無事だったんですね!」


 目を覚ますと入口にあった白い空間へと戻っていたことに気づく。そして倒れている僕をゼーネシアさんが見守ってくれていたようだ。


「はい、あの後私も目覚めたらこの白い空間に戻ってきていたので驚きましたよ。いったいこれはどういう事なんでしょう……ッ!」


 その時正面に光が現れて徐々に姿をかたどっていく。その姿は見覚えしかないもので……。


「ホルテラ様?」


「汝らは合格である。私をパートナーとして連れ出してくれ」


 何だろう随分と僕達が戦ったホルテラ様とは様子が違うような。


「汝らは私の精神世界に巣くう闇の欠片を取り去ってくれた。悪性は浄化され我が精神世界には平穏がもたらされた」


「それはつまり、さっきまでのホルテラ様は偽物だったってこと? どうりで女神なのにガラが悪かったわけだ」


「いや、あれは我の一部であるから、偽物という事はない。ただ我の悪性の部分ではあるから全く性質は我と違う、我の中には魔王戦で勇者セルファシアが引き分けた際に魔王の欠片が入り込んだのだ。それゆえ悪性、魔王の人格が色濃く反映されている。今までは悪性の力に我が封じ込まれていたのだがようやく出ることができた」


「はあ……」


「悪性の情報は我の元にも引き継がれている。冒険者グラスお主には我が悪性を浄化してくれて感謝するぞ」


「は、はい! こちらこそ光栄です」


 なんだか随分と女神らしくなっちゃったな本物のホルテラ様。見た目は同じなんだけどな。


「そしてゼーネ久しぶりだな。我が悪性がお主に牙を向いたことを謝罪する。そしてセルファシアの力は見事だったぞ。ほぼ使いこなせていた」


「お久しぶりですホルテラ様! やはりその話し方は本物のようで、人格変化は魔王のせいでしたか。それにしても今の私の名はゼーネシアですよ。セルファシア様の思いは私が引き継いでいます」


「そうか、ならば我と精霊契約を結ばないかゼーネシアよ。魔王復活の時は近そうだ」


「やはりそうでしたか。私も薄々感じていました、事態は一刻を争いそうですね」


「ならば契約の儀式だ」


 ゼーネシアさんとホルテラ様が手を結ぶと、光が辺りに宿りホルテラ様の姿が消え去っていく。


「ゼーネシアよ、セルファシアとの戦いの続きを、共に行おうぞ。そして冒険者グラス、お主も私達と共に協力を頼むぞ」


「勿論です」


 僕とゼーネシアさんは声を重ねて決意を見せると、ホルテラ様はそのまま消えていった。





「ど、どうですか何か変わった様子とかありません?」


「そうですね、特に変化とかはありません。精霊契約というのはこういった感覚なんですね」


「そうか、ゼーネシアさん、精霊契約は初めてですもんね!」


 それほど精霊というのは稀少な存在というわけか。流石ミルティと言いたいところである。


「さて、やっと終わった事ですし聖堂に戻りますかね」


「はい!」



 ホルテラ精神空間の通路にて僕達は出口を目指している。


「しかし驚きでしたよ。ゼーネシアさんがあの勇者セルファシアの弟子だったなんて」


「隠していてすいません。グラスさんになら話してもいいかなとは思っていたのですが機会がなくて……しかし今回が丁度いい機会になってよかったです」


「しかし勇者セルファシアがいた時代というのは確か数十年前ですよね。ゼーネシアさんはその……かなり年齢があると思うのですが、その割にはかなり見た目が若くみえような……」


「そうですよね……」


「あっ……はい、そうですね。凄く気になっちゃって」


「ふふふ、それは無理もない事ですね。安心してください、今の私の実年齢は20歳前後ですよ」


「え? 20歳前後? それっておかしいんじゃ」


「確かに普通ならおかしいですが、私実は師匠のセルファシア様から時固定の術式を与えられていたんです。師匠が私に与えた術式は魔王を封じ込めるリスクとして時間を静止させるものでした。この術は魔王が復活して、倒したときに解除されます。故に私の年齢は当時からさほど変わっていません」


「そうだったのですね」


 勇者セルファシアさんというのは、随分と弟子に重い術式を背負わせたものだな。何とも思わなかったのだろうか……ゼ―ネシアさんは魔王を倒す宿命を背負っていると言う事になる。それまで時が固定されてしまうなんてあんまりだ。まあ故人にそんなことを思っても意味がないのだが……。


「さて、昔話はこれくらいにして、そろそろ出口が見えてきましたよ」


 ホルテラの精神空間に外の光が差し込む。やっと無事この空間から出ることが出来たのだ。


「遂に外に戻ってこられ……なっなんだこれ」


 外に出ると空が暗黒に包まれていた。





「面白かった、続きが読みたい!」


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