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35.懇願拒否

「なんでそんなこと、だってレネはハイフレードの事を慕っていたんじゃないのか」


 選抜冒険者時代に、レネの奴はハイフレードの奴の事が大好きだったのを覚えている。ハイフレード自身もレネの事を気に入っていて、僕が追放されたときも2人は凄く仲良さそうにしていたのだが……それがどうして急に。


「確かに私はハイフレード様の事を慕っていました。それでも話が変わったんです。ハイフレード様はどこか様子がおかしい時がある……戦いの時一瞬だけその、ハイフレード様じゃない雰囲気を醸し出すことがあるんです。それにいきなり父上がいなくなって直ぐに王座に着くなんて、やっぱりおかしい……私は少し疑心暗鬼になってしまったんです」


「成程な、確かにハイフレードの奴はどこか裏がありそうだ」


 エイマさんはレネの話に納得したみたいである。確かに状況的にもハイフレードは怪しい、唯一王に干渉できた位置にいたこと、そして王座に直ぐについたこと、レネの言っていることは筋が通っていると言える。


 だけどそんなことは僕にとって知った事ではない。僕はシュレッタ王国に酷い目にされた挙句追い出されたのだから、まだあの時のことを思い出すと怒りが湧いてくる。


「なあ、グラス少し話を聞いてやってもいいんじゃないか」


「……エイマさん、ちょっとこの問題は僕の面子に関わること何で黙ってもらっていいですか」


「お、おう……なんかすまないな」


「レネ……お前の言いたいことはよく分かった。確かにここに来たのも理解できるし、筋が通っているとは思うよ。それを踏まえて出した答えなんだが……」


 僕はレネの俯いた表情に顔を寄せて、少しだけ微笑む。


「お断りだ!」


「なっなんですって!」


 その光景はまるでいつかの、僕がシュレッタ王国を追放されて助けを求めた際にレネに断られたあの光景と重なるものとなった。





「あ、あなた……私の話を聞いていなかったのですか? 要するにハイフレード様が王国を支配しようとしているかもしれないんですよ。ましてやあの強さで……言ってしまうと魔王側の人間かも知れない疑惑も出てきた、そうなった場合いよいよ対抗できる人間は限られてきます。まさに世界の危機ですよ」


 そう、それが今回の議題の核心となっている。一連の事態が全てハイフレードの思惑の通りだった場合、それはかなり狡猾で、そんなことをするのは魔王軍くらいのものということが分かる。


 仮にハイフレードが魔王だった場合、いよいよ誰も太刀打ちできないかもしれない。あいつは魔王軍幹部と比べても実力は次元を逸している。ただそれと僕が協力するかとは話しが違う。


「僕はレネの事が信用できない。以前裏切られたことが頭をちらつくんだ! だからお前らと協力することは絶対したくないし、そもそもシュレッタ王がいなくなった事も他人の事件としか思ってない」


「なっ私がこんなに頼んでるんですよ。あなたそれでも困った人を助けるギルドの冒険者ですか? しかも父上のことまで侮辱してあなたそれって人間としてどうなんですかあ!」


「はあああ? 僕の事散々騙しておいて何が助けてくれだよ。散々人の事鑑定レベルEの雑魚だのなんだいっておいて、いざ僕の力を知ったら手のひら返しで仲間になってくれだ? そんな都合がいい話あるわけねえだろ!」


「ぐぬぬ……それはさっき謝りましたよね。こんな屈辱生まれて初めて受けましたよ」


「ああそうだろうな、恵まれた王族に生まれてぬくぬく育った世間知らずのお嬢様にはこんな些細な事でも屈辱になるんだろうな」


「き、貴様あああああ」


 レネは赤面して、目に涙を浮かべた表情で、僕の胸倉に掴みかかってくる。レネお嬢様の屈辱の表情を見ることが出来て僕は満たされた気持ちになった。少しはあの日の恨みを果たせたかな。


「ちょっと落ち着くんだ。どうしたんだ急に」


 エイマさんは僕たちのやり取りを呆然と見ていたものの、流石にまずいと気づいたのか仲介に入る。


「やれやれ、お前達の身内ノリにはついていけんわ。ただ私としてもよく考えると、その提案は受けかねる。先ずハイフレードが私たちに害を加えるか、黒である可能性も不明だからな。以前のシュレッタ王は酷いものだったから、ハイフレードに王政がかわった今ならむしろ協力関係を築けるかもしれん。こればっかりは様子を見ようとしか……」


「はあ、はあ、はあ、あなた達がそんなにわからずやだとは思いもしませんでしたよ。お姉さまに合わせてください。話しを付けてきます。」


「お姉さまって誰の事だ」


「エテラカネルカですよ。そいつのパーティにいるあの聖女です」


「エルカの事か、おいグラスどういうことだ」


「ああ、ほら実はエルカなんですが実はシュレッタ王国の第一王女なんですよ」


「えええええええ?」


 執務室中にはエイマさんの驚き声が鳴り響いた。というかこの反応はエイマさんやっぱり雲の都市での僕達のやり取りを何一つ理解してなかったんだな。




 それからギルドにいたエルカも執務室に呼び出されることとなった。


「面白かった、続きが読みたい!」


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