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34.来客



 ここはギルド《オルトレール》の掲示板前、この日はどこかいつもと違う。


「なんだ、今日は随分と人だかりが出来て騒がしいな」


 普段通り掲示板から依頼を探しに行こうとした僕、エルカとレピティには休憩所で待機してもらっているため、今は1人である。


 そしてギルドの掲示板はいつもとは違った異変が生じていることに気づいた。


「大変だぞ、シュレッタ王国の現国王が消息不明になったそうだ」


 あのシュレッタ王が消息不明になったって? 僕としては追放してくれた国王に対する印象はあまりよくないが、しかしどうして突然そんなことに。


「本当に言っているのか? お前それを見せて見ろ」


「エイマさんこちらです」


「こ、これは、大変なことになったぞ」


 エイマさんの反応を見るに、かなり荒れた状況のようだな。少し問いただしてみるか。


「国王が消息不明になったって本当ですか!」


「おおグラスか、これを見てくれ。シュレッタ王国が今大変なことになっているようだ」


 エイマさんが掲示板に貼られているポスターを僕に渡すとそこにはシュレッタ王の消息不明についての情報が載っていた。


「ほ、本当にシュレッタ王が消息不明になったんですね」


「ああ、ただそれだけじゃないようだぞ。どうやら空席の椅子にはなんと聖騎士ハイフレードが着いたようだ。しかし妙だな、こんなにも早く王の座に着くとは、しかも騎士の身分で、これは前代未聞ではないか」


 ハイフレードが王座に、確かに様子がおかしい気がする。騎士が王座に座ることなんてありえるのか。


「ちょっと、そこごめんね」


 あれはセイラさん、かなり急いでいる様子だけど何があったんだろう。


「エイマ、何やら王国の使者の方がお見えみたいよ」


「王国から使者だって? 私が出迎えるから待っててくれ」


 王国の使者って誰だろう、かなり気になるところだな。


「自分もついていっていいですか」


「ああグラスなら大丈夫そうだな。頼むぞ」


 それから僕達は使者が待っているギルドの入り口に向かった。





「あれ、誰もいませんね」


「いったん入り口で待機してもらってるんだけど、あれどこ行っちゃたんだろう」


「その使者というのはどんな感じの奴だったんですか」


「いやそのかなり小柄なんだけど、顔をローブで隠してて、1人だったんで一瞬何者かと警戒したのよ。でも喋ってみるとかなりしっかりしてて使者だっていってたわ。あと、あの声どっかで聞いたことがあったような……」


「来たみたいだな」


 黒いローブで顔を隠してこちらへ歩いてくる王国の使者、そしてローブを取るとその白髪短髪の風貌は完全に見知った顔であった。


「久しぶりですね皆さん、アセルビデトの時以来ですか」


「お、お前はレネ!」


 エイマさんとセイラさんも思い出したと言った表情をした。





 ギルドに訪れてきた王国の使者はなんとレネだった。


「レネと言ったか、確かシュレッタ王国第二王女の。見たところ正式な使者としてきた様子ではなさそうだな。一先ず私の執務室まで来てもらおうか」


「……ええ」


 レネはエイマさんの提案を聞き静かに頷く。


 それから僕達は支部長執務室で話し合う事となった。




「それで事情を話してもらおうか」


 エイマさんがレネに状況を問いただす。


「もうご存じかも知れませんが、我が父シュレッタ王は先日消息不明になりました。原因は魂の消失、魔法発動のペナルティのようなものに掛かったのだと思われます。そしてそれは自らの意思のものであると今は言われているようです」


「何故国王が自らの魂を消失させたと?」


「私の感知で父上の生命の魔力の痕跡を確認致しましたので魂の消失は間違いありません。父上がこのような行為に及んだ理由として考えられることですが、周辺に私以外に王室に侵入できる痕跡はありません。あの場にいたのは私と、もう一人ハイフレード様だけです。王に最も忠誠を誓う私たちが疑われるはずもなく、つまりは外部の物からやられたとは考えられません。なので自らの意思での行為……動機ですが近年鑑定システムαに狂信していたことも合わさり、狂ってしまったのだとされています」


「確かにあの国王は鑑定システムに凄い固執していましたね。あれは危ないと思いましたが、本当に命を捨てるほど狂っていたとは、まあ納得ですがね」


「おいグラス、仮にもシュレッタ王はレネの父だぞ、それは本人の目の前で言うのは失礼なのではないか」


「そうですね……」


 レネはいつになく弱気な表情で俯いている。しかしあいつのことだからまだ油断にならない。今回の事だってあの国王共々日頃の行いが帰ってきたんだ。


「勿論これまで私たちがグラスさんに悪いことをしてきたなとは思っています。父上もその罰として報いを受けたに違いありません。しかし今回私は個人的事情を排除してでも当ギルドにお願いを申し上げたいなと思っています」


 レネがここまでかしこまるなんて、本当に反省しているのかな。かなりシュレッタ王の件で堪えているのか。


「グラスさん、あなたに会いに来ました。緊急クエストです。ハイフレード様から王国を奪い返してくれませんか」


「それはどういう……」


 唐突過ぎるレネのお願いに僕は動揺を隠せなかった。


「面白かった、続きが読みたい!」


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