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26.急襲

 案内により僕達はクリープキャッスル内のカミトの部屋に入った。


「さて、それでは状況を話してもらおうか」


「そうだな、先ずは君達に関してだが私が試練に掛けた。そして見事に試練を突破したという事で迎えに来てやったというわけだ」


「背景が見えてこないが? ちゃんと説明してもらおうか」


 エイマさんの言うとおりである。僕たちは依頼を受けてここに来たのにいきなり襲われて、それを試練と言うならば何か理由があるはずだ。


「信用だよ。君たちが我が依頼を受注するのに足りえるか、試してみたまでの事。それにね」


 カミトは手元をかざすとモニターを出現させた。


「これを見て欲しいのだが、我が雲の都市アセルビデトは現在シュレッタ王国からの襲撃を受けている」


「なっ……」


 どういうことだ、王国とアセルビデトは現在休戦中のはずじゃ。


「奴らも中々狡猾な奴らよな。魔王軍幹部襲来の噂を聞き、我らもろとも制圧してしまおうという魂胆らしい、今は兵を小出しにしてくる形だが、魔王軍襲来時に奴らも本格的に動き出すに違いない」


「卑劣な奴らですね」


「なんで、そんなことするんだ」


「私にも分からんのだよ。だから今こいつを捕らえて事情を問いただすところだ」


 カミトは倒れたレジンの頭を掴んで、僕たちの前に釣り上げた。


「いやまあ、そいつは好きにしても変わらんのだが」


 確かにエルカの言う通り僕達がレジンを庇う理由など全くない。


「ただでさえ異常なこの状況下にあるのだから兵達がお前たちを疑うのも無理もないだろうな、片っ端から外からきたものは囚えて、試練を突破した者だけここにたどり着かせたと言う事だ」


「じゃあ、他のギルドの皆はどうしたんだ」


「同じ試練を受けさせたよ。当然ドラゴン相手に悉くやられていたがな」


「おい、皆は無事なんだろうな!」


「勿論だよ、敗れたものは牢屋に戻ってもらっている」


「残ったのは君達と、あとゼーネシアっていう冒険者一人だけかな」


 やっぱり流石にゼーネシアさんは残っていたか。


「その人は今どこにいるんですか」


「私の部屋に呼び留めておいたんだが突如姿を消してしまってね。困ったものだよ」


「あいつの神出鬼没さは毎回どうにかならんのか」


 エイマさんの言っている気持ち、凄い分かるんだよな……。


「とにかく、ギルドのみんなを解放してください」


「それはお前達次第だな」


「なんだと!」


「私は試練を乗り越えたお前たちを高くかっている。ドラゴン相手に数秒持つとて奇跡的な事なのだからな。それゆえに今回の依頼はお前達に任せるとする。でも失敗したらお前達と部下は我が配下に下れ」


 こいつギルドの皆を人質に取りやがった。


「汚いぞ、お前え! やはりカミトの本質は自分達のためなら手段を選ばない非常な奴、一枚岩ではなかったな」


 エイマさんがカミトに切りかかりそうだな。ここは僕が仲介に入らないと。


「まあ、まあ、まあいいじゃないですか。一先ずみんなの無事が保証されたわけですし、それに僕たちが魔王軍を倒せばいいだけの話です」


「それもそうなのか?」


 困惑するエイマさん、しかし何とか抑制はできたようで良かった。


「同意をしたと言う事で、それでは早速魔王軍討伐をよろしく頼むぞ」


 色々波乱の展開もあったが何とか魔王軍討伐の依頼主との話を付けることが出来た。


 話によると夕暮れ時に魔王ヘイズが襲撃してくるとされている。監視と魔王軍は夕暮れの時間帯に力を増すという特性からこの情報は明らかである。


 更に現在王国軍の襲撃を受けているアセルビデト、今はレジンを捕らえて収まっているがおそらく夜になったら更に荒れそうな状況である。





「ぐわああああああああ」


 現在僕たちはカミトに取り調べを受けているレジンの様子を見ている。シュレッタ王国襲撃の理由を問いただそうという魂胆というわけだ。


「お前たち王国はここに何しに来たんだ」


「いやだから、知らないんですって。俺はただレネがここにグラスの奴がいるっていうからちょっと冷やかしに行こうと思ったんですよ」


 レジンの奴の言っていることはまんざら嘘でもなさそうだ。以前から人をからかう事で悦に浸る性格で、僕も選抜冒険者生活の中で度々嫌な気分になった事があった。ただこいつはかなり単細胞だから作戦の詳細は伝えられず囮として使われた確率が高いな。


「カミトさん、どうやらレジンは囮に違いありません。周囲に警戒をした方がよさげですよ」


「ふん、甘く見るなよ、私は半径数十メートルの動きを直感で感知することが出来る。何者が来ようとも、軽く打ち落としてくれるわ」


 この自信、やはりカミトさんは只者ではない。


「カミトさん大変です!」


 さっきのアルデビデト兵の代表が現れたみたいだ。こっちを一瞬だけ見て嫌そうな顔をしている。


「魔王軍が、魔王軍が攻めてきました!」


「なんだと!」


 まさかの強襲か。


「シャシャシャシャ! 魔王軍幹部闇の欠片の一人 ヘイズ様参上。雲の都市に突撃開始だ」


 アセルビデド上空の空は魔王軍ヘイズの登場によって眷属が出現し漆黒に染まっていた。






「で、現在の状況はどうなっているんだ」


「とにかく向こうの数が多くて、兵士たちが半壊状態です」


「ぐぬぬぬ、分かった私が行こう。グラス殿達も援護をお願いできるか」


「はい、勿論です」


「ズドドドドド」


 その時足元から凄まじい轟音が鳴り響いた。


「ドッカカカ―ン!」


 煙塵が巻き起こされる中で、中から何者かが現れる。


「お、お前たちは」


 見覚えがありすぎるその顔ぶれ、王国を追放された時に僕を散々叩きのめしてきたあいつらである。


「レジンさん救いに来ましたよ、マーキングご苦労様です」


「特攻任務という事でいきなり敵の拠点に潜り込むとはお前も大した奴だよ」


「いやあ、随分と大胆な行動を取るものだね」


「ははは、お前ら遅すぎるんだよ」


 現れたのは宿敵であるシュレッタ王国の選抜冒険者レネとシステラ、そして聖騎士ハイフレードであった。


「面白かった、続きが読みたい!」


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