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24.次は負けないから

 目の前に現れた巨大なドラゴン、睡眠中のようだけど明らかに強そうである。


「困ったなあ、こいつは私の手にも負えないかもしれない」


 エイマさんでも手に負えないって、ドラゴンというのはそんなに強いのだろうか。


「《スカイ・ドラゴン》、雲の都市アセルビデトの守り神とも呼べる存在として有名で、《カミト》の忠実なしもべという噂もあるぞ。その実力はSSクラスとされていて、王国兵何人いても歯が立たないだとか」


「それやばくないですか」


 成程なあ、これはとんでもない相手と対面することになってしまったわけか。


「見てくださいアレ、ドラゴンの首にキーがあります。あれが出口のカギじゃないでしょうか」


「おおお本当だ、キーを取りに行けば、ここから脱出できそうですね。よくやったぞレピティ」


「ふむ出口は破壊できそうにないし、ならば《スカイ・ドラゴン》を起こさない様にキーを取るのが妥当な作戦となりそうだな」


「そうですよねえ、そしたら役割分担をしましょうか!」


 僕たちはドラゴンからキーを奪う作戦を立てた。索敵能力が高いエルカが監視役、レピティとセイラさんが浮遊パフで僕とエイマさんをキーの近くまで寄せて、僕がエイマさんの周囲を見張りながらエイマさんがキーの接合部を切断するという算段だ。


「結構完璧な作戦じゃないですかねエイマさん」


「うむ、後は不測の事態が起きないことを願うばかりだな」


「レピティとエルカちゃん二人とも準備はいい?」


「こっちは感知魔法を張り巡らしたから問題ないぞ」


「私も浮遊魔法をいつでも使えます」


「じゃあエイマとグラス君お願いねえ、浮遊魔法発動!」


「ふわっ、ふわっ」


 何だろう空中に浮遊するって不思議な感覚である。酔いそうだなこれ。


「おい、グラス油断するなよ。絶対にこいつを起こさない様にしないといけないからな」


「分かってます。慎重に近づきましょう」


 遂にドラゴンの首元、キーの接合部付近にまで来た。


「大丈夫です。慎重にお願いしますよエイマさん」


「ああ、任せとけ。今回はコンパクトに行くぞ。《一閃の太刀》」


「スッ、ガラガラガラ」


 エイマさんの一閃によってキーの接合部が切断された。


「よし、取れました。後は慎重に戻りましょう!」


 その時エルカが慌てて、大声を張り上げた。


「グラスとエイマ! 大変だ、ドラゴンの生体反応が大きくなってきたぞ。こやつそろそろ目覚めるかもしれん」


「っ! 急いで扉迄逃げ込むぞ!」


「一先ず、レピティ! このキーを受け取ってエルカとセイラさんを逃がしてくれ」


「バッ!」


「了解です! 確かに受け取りましたご主人様、エルカさん捕まって」


「撤退、っ撤退だああああ!」


 その時目覚めたスカイ・ドラゴンが凄まじい轟音と共に咆哮を発した。


「グオオオオオオオオ!」


「いやあああああ……レピティ!?」


「セイラさん急ぎますよ、捕まっていてください。急加速!」


 レピティはセイラさんとエルカを掴みながら、とてつもないスピードで扉の方まで移動した。


「ズドドドッド」


「ご主人様扉を開けて、一先ずエルカさんとセイラさんを連れました」


「よくやったぞ、後は僕達か」


 すっかり眠りから目覚めたスカイ・ドラゴン、エイマさんと僕を完全にマークしている。


「困ったものだな、おいグラスお前はどこまでこいつ相手にやれる」


「うん……まあ普通に倒せるには、倒せそうですが、依頼主さんのドラゴンを倒してしまうというのはよくない気がするんですよね」


「な、何を言っているお前、冗談を言っている場合ではないんだぞ?」


「いや、冗談じゃないですって。エイマさんここは僕が引き付けておくんで先に逃げてください」


「な、何を!? うおおおお」


 僕はエイマさんをドアの方へ優しく吹っ飛ばした。


「よし、僕も逃げるぞ」


 スカイ・ドラゴンから逃げようとした時背後から、凄まじい威力のエネルギーを感知した。


「おいおい、これってやばすぎないか」


「グラス! 今すぐ逃げろ、スカイブレスだ。SS級、神の魔力を帯びるとされているスカイ・ドラゴンの必殺技だぞ」


「逃げろってどこに逃げる場所無いですって。仕方ない迎え撃つしかないか」


「は? お前何を言ってるんだ」


「ま、まあ見ててくださいよ。今回は解魔石を使う必要はないかな」


 神級魔術と対峙することはこれまでも幾度もあった。流石にこのシチュエーションは慣れてきた気がする。


「おいグラス! ブレスが来るぞ!逃げろおおおお!」


「分析、魔法陣数値化ふむふむじゃあ今回はこんな感じに変化させて……出力!」




 その時辺りは目に見えぬほどの光に覆われスカイブレスは消滅した。




「す、凄い」


 エイマさんが目を見広げてこっちを見ている。


「ま、まあ一先ず逃げますよ」


「あ、ああ」


 スカイ・ドラゴンは光によってかなり動きが鈍くなっている。ブレスを消されて動揺している部分もあるのか。なんにしても逃げるなら今のうちである。


「ご主人様ーこっちです」


「今からいくぞ!」


「グオオオオオ」


 その時再び動き出したスカイ・ドラゴンの尻尾がこちらに接近してきていた。


「うわ! エイマさんは先に」


「うおおお! グラスお前も早く……!」


 先にエイマさんを扉の方へ投げ飛ばす。


「ご主人様ああああ」

 

「ドカアアァァァン!」


 スカイ・ドラゴンの尻尾による打撃は壁を抉り、凄まじい煙霧を周囲にもたらした。周囲の視界は壁の粉塵と煙で覆われて塞がれることになる。


「バタッ!」


「なんとか扉が閉まりましたね」


「おい、グラスの奴は無事なのか」


「ご主人様は……」


「おーいみんなこっちだ! ハハハハ」


「心配させやがって」


 僕はスカイ・ドラゴンの打撃を何とか交わし、煙に紛れて扉の外に出ることが出来た。久々に焦ったけどな。しかしまあ……。

 

「おいグラス……」


 エイマさんが凄いジト目でこっちを見てくるんだが。


「私を弟子にしてくれないか?」


「へ?」


「ふっ、冗談だよ、次は負けないからな!」


 エイマさんの冗談交じりの笑顔は、凄く輝いているように見えた。


「面白かった、続きが読みたい!」


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