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2.ギルド

「君は……誰だい?」


「私はここのギルドの冒険者レピティと言います」


「ははあ、えーと……ここはギルドなんですか?」


「そうですよ、ここは冒険者ギルド《オルトレール》の本部です」


「……そ、そうですか」


 思い出してきたぞ、僕はシュレッタ王国を追い出された挙句、レネ達にボロボロにされて最後はハイフレードに吹っ飛ばされたんだった。


「う……痛い」


「まだ、安静にしててください。あなたは怪我人ですよ」


「分かりました」


 ふう、ハイフレードの攻撃で命を落としたかと思ったけど、運よく生きていたみたいでよかった。しかし怪我しているのか。見たところ軽傷のようだけど、レピティ達が治療してくれたのだろうか。


「おーい、救護班を呼んできたぞ」


 さっき声がした2人が帰ってきたようだ。1人は黒髪眼鏡で耳はないところ人族の女性かな。もう1人はレピティより少し大きいけど、背丈はそれでも小さい部類の猫耳の女性であった。


「なんだ、意識が戻ってるじゃん」


「救護班はいらなかったな。おいお前ら帰っていいぞ」


 来て直ぐに帰っていく救護班を見ると少し申し訳ない気分である。




「ふむ、先ずは自己紹介からいくか。私はギルド《オルトレール》の支部長のエイマだ!よろしくな」


「よ、よろしくお願いします」


 なんだろう、まだ状況が読み込み切れない、けど一先ず挨拶はしておこう。


「お、お前今私のモフモフを見てニヤニヤしただろ。少しでも触れたら叩きだすからな」


「は、はい?」


 何をいきなり言い出すんだこの人は……。


「もうすぐそうやって新人を困らせるだから、エイマの悪い癖だよ」


「いやだって、こいつの目線がさっき私のモフモフに向いて……」


「いや、僕が見ていたのは耳の方です」


「……なら許すぞ」


「は、はあ……」


 耳なら許してくれるのか……。


「ごめんねえ、彼女いつも初めての人に出会うとこうなの。警戒心が強いみたいでね、言っても治んないところ重症でしょ。あ、それで私だけどセイラだよ。ギルドの受付嬢をやってます」


受付嬢のセイラさんか、凄くしっかりした雰囲気で親近感が湧く印象だ。


「セイラさんもよろしくお願いします」


「うん、どうしたあまり浮かない表情だね」


「それはまあ……」


 全く状況が分からない、僕はなぜ今ここにいるのだろうか。

 それに僕はもう選抜冒険者を辞めさせられて……。

 それから先の事を考えると、ショックのあまり目まいがした。


「無理もないでしょエイマ。いきなり目を覚ましたら見知らぬギルドにいるって中々受け入れられることじゃないよ」


「それもそうだな」


「レピティはもう自己紹介したのよね」


「はいしましたよ」


「ふむふむ、さてそしたら今度は君の自己紹介をしてもらいたいな」


 セイラさんが僕に手を差し伸べてくる。


「僕は……グラス、シュレッタ王国で選抜冒険者をやっていたのだけど、追い出されて今は……その放浪中のグラスです」


「グラス君っていうのね……よろしく! ふふふふ」


 何だろう、やけにセイラさんが面白がっているような。


「ふむふむ、いやというか知ってた」


「え?」


「いやいや、素性の分からない奴をいきなりギルドに入れるわけがないだろうが。グラス、お前のことはうちのギルドマスターの、ゼーネシアから聞いているよ」


「は、はあ……え? どういうこと」





 それから僕はエイマさんに状況を教えてもらった。どうやら僕はシュレッタ王国からかなり離れた平原で倒れていたそう。


 そこでギルドマスターのゼーネシアという人物が僕を拾ってきてギルドに連れてきたというのだった。


「なんで、知ってて僕に自己紹介させたんですか!」


「ごめんねグラス君、ちょっと君の口から自己紹介を聞きたくて」


「な、成程……」


 僕はセイラさんにハメられたみたいだった。


「しかしまた、どうしてゼーネシアさんという方は僕なんかを助けたんでしょう」


「あいつ最近、面白い人物が王国にいるとか言ってたな。よく王国近辺を調査してる奴なんだが、どうもグラス、お前の事をマークしてたようで、かなり事情に詳しかったぞ。だからまあお前の素性もある程度私はゼーネシアから聞いていたというわけだ」


「いや、見知らぬ人にマークされるって、すごく怖いんですけど」


「まあ、あいつは神出鬼没で何考えているか分からない奴だからな。さっきもふと目を離した隙にいなくなったから気持ちは分かる」


「私とレピティもエイマから事情は聞いたわ。中々大変だったのねグラス君。でも安心してギルドにいれば私たちがあなたの安全を保障するわ」


「は、はい!」


 何だろう、こんな気持ち久しぶりだ。いろんなプレッシャーに晒されてきた。安定しない中で何とか頑張りを重ねても報われず、そんな中また僕の居場所が出来たんだ。


「それにしてもゼーネシアさんって私も見たことないかも、ギルドでは幻のような存在よね。エイマくらいじゃないの彼女に詳しいの」


「私も見たことないです」


「ほーんセイラとレピティは見たことないのか、ゼ―ネシアは本当変わった奴だな」


「……」


「あ、すまんすまん、こっちの話で盛り上がってしまった。という事でだ、グラスお前は今からうちのギルドが引き取ることになったわけだが、返事を聞こうか」


 今の僕は王国を追い出された放浪者だ。そんな僕を拾ってくれる場所がこんなに早く見つかるなんて、返事は1つしかない。


「是非、僕をギルド《オルトレール》の冒険者として仲間に加えてください!」


 エイマさん達は頷くと、僕を快く歓迎してくれた。



「面白かった、続きが読みたい!」


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