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46.傲慢

「レネ様、何か私は失礼なことをしていたのでしょうか? よろしければお話をお聞きしたいのですか」


「そ、そんなことは……」


 躊躇するレネにエルカが話しかける。


「おいおい、どうしたんだいつもの強気な態度は。しっかりしろ!」


「うっ」


 普段はレネが優勢だったエルカとのやり取りとり、この時はエルカが先行しているのだった。


「わっ分かりましたよ」


「レネ様?」


「バシッ」


「なっ!」


 おいおいやりすぎだろ。レネの奴いきなりカロンシュタールの奴にビンタをし出したぞ。


「いい加減にしてくださいカロンシュタール様。あなたの勝手ぶりは目に余るものがありますよ」


「っ……何を?」


「私はあなたのことが好きではありません! すいませんプロポーズも受けることはできません」


「なっどういうことなんですか? 私のことを気に入ったから提案を受けてくれたのではないですか」


「そ、それは……仕方なかったんですよ。関係を良好にしたかったんですもん」


「成程……」


 カロンシュタールは少し黙る。この後の反応が重要になってきそうだ。レネも本音を思い切って吐いたため顔がかなりこわばっている。


「私は少し勘違いをしていました。私にあった女性は誰もが私のことを羨望の目で見ていた。傲慢になっていたのかもしれません。レネ様の本心を見切ることができずすっかり私のことを好意的に見てくれているのかと思っていました」


「うっ、そんな素直にかしこまられるとこっちが申し訳なくなるじゃないですか。てっきりカロンシュタール様は私の意見など意に介さないほどの自分に酔ったナルシストなのかと勘違いしてました」


「いえいえ、私にとって盲目に酔うというのはある意味で自分の心情を肯定するのに必要なものだと自負しています。私は常日頃カロンシュタールの高貴さを保つためのプレッシャーにさらされてきました。だからこそ自分自身を肯定し続けていた、周囲の人もその態度に良好さを見せてくれていた。知らぬ間に私は度が過ぎた自己肯定に偏りすぎていたのかもしれません」


「よく自己分析ができていますね。少し見直しましたわ」


「私自身も自分を見つめなおすきっかけになりました。真正面から私を否定してくれたレネ様には感謝をしなければならないかもしれません。それに」


 カロンシュタールが僕の方を向いてきた。


「ここまで客観的に自分を見ることができたのはやはりグラスさん……あなたの圧倒的実力を見ることができたというのがかなりでかいといえます。私はハイフレードを超えて最強になったと自負していた。その傲慢な数分前の私の鼻っ柱を見事折ってくださり本当にありがとうございます」


「お、おう」


 なんか綺麗すぎて拍子抜けしちゃうんだが。


「さて、私たちカロンシュタール家は引き続きレネ様をサポートいたします。プロポーズを受けてもらう必要はありません」


「えっそんな悪いですって」


「困っているのでしょう? だから嫌な私のプロポーズ儲けようと頑張っていた。気を使っていただき本当に申し訳ないことをしました。これはお詫びですよ」


「お詫びといっても一時的なものですよね?」


「いえいえいえ、私にとって自らの傲慢さに気づかせてくれたグラスさんとレネ様の行いはとても返しけれない恩が生まれたといえます。これは一時的なことではありませんよ」


「へ? うっそおおおおおおおおお!」


 カロンシュタールの屋敷でレネの大声が響き渡すのだった。









 式典は解散となり、レネはカロンシュタールのプロポーズを受けなくても援助をしてもらえることとなった。作戦は大成功なのである。


「本当にありがとうございます。カロンシュタール様、さすがにお付き合いとはいきませんけど、少しあなたの心の広さに私は惚れてしまいましたわ」



「あはははは、またご冗談をレネ様、お世辞はいいですよ」


 さわやかイケメンで傲慢さが抜けたカロンシュタールはまさにイケメン過ぎたと僕も感じた。このキラキラオーラに長時間さらされると気持ち悪くなりそうなので一刻も離れたいところである。


「それじゃ僕たちはここらへんで」


「あっちょっと待ってもらっていいグラスさん」


「うん? どうしたの」


「ちょっと君の実力に実を言うと僕は惚れてしまったんだ。僕を君のパーティーにしてくれないか?」


「は? 絶対断る」



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