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45.最強剣術

「……」


「ほらレネ様もこうして黙っているではありませんか」


 黙るレネに対しエルカが口を開く。


「おいレネ、お前グラスが来てやったのにその態度はないんじゃないか? 何か言ってやれよ」


「……うるさいですわ」


「なっ」


「勝手に来て面倒ことを起こさないでくださいよ! いったい私にどうしろっていうんですか。こんな混沌とした状況でもう頭が真っ白なんですよ!」


「いいよ」


「え?」


「今回は僕たちが独断で行ったことだからレネは何も考えなくていい。それに僕もキルティオの奴にこの場をうまく収めてほしいって託されてるんでな」


「なっキルティオがあなたに?」


 レネはキルティオのことを聞くとかなり動揺するのだった。


「グラス……まさかあなたは魔王を倒したっていうグラスですか?」


 そんな中突如カロンシュタールの態度も変化するのだった。


「ああ、まあそうだけど」


「これは失礼、どこぞの蛮族が私の式典を邪魔しに来たのかと思いましたよ。それにレネ様の姉君まで、どうも事情がありそうな面子だと受け取れますね」


「おお、結構物分かりがよくて何よりだな」


「しかしすでに式典はピークのタイミングなのです。この場面は誰にも干渉させられない聖なる領域。私が頭の中で思い描いた物語の重要地点なのです。事情は十分承知なのは理解できるのですが、今一度お引き取り願えませんでしょうか」


「……」


「ご主人様、このお方の決意はかなり異常なようです」


 まさにレピティと同じことを僕も感じていたのだった。


「それは断るな」


「そうですか」


 その時カロンシュタールが凄まじいオーラを放つ。


「ちょっカロンシュタール様? 何をなさるおつもりで?」


「申し訳ありませんレネ様、私にも引けないものというものがあります」


「え?」


「グラス御一行様、確かにあなた方はこの場にいるのにふさわしい点は認めましょう。ただ私の信条として思い描いたストーリーは絶対完遂するというものがあります。ふさわしいというのはあくまで立場の話。いささかあなた達の態度は私の目に余る許しがたいものがあります」


「だったらどうするんだ?」


「不本意ですが私自らあなた達をこの場から排除させていただきます」


「はあ、出来れば対話ですましたかったんだけど無理そうだな……」


「おいグラス、カロンシュタールの奴やる気だぞ」


「お気お付けてください」


「分かってる」


 式典の空間はかなり広いため、中央の大きな空間にカロンシュタールと僕が相対することになった。


「はあ……まったく面倒くさいことになりましたわ」


 レネはその光景を見て頭を抱えているようだった。






「シュレッタ王国最強剣士ハイフレード、私は長年彼の力をうらやましく思っていました。最初に負けてから大体5年ですかね、あれから私は日々研鑽をし全盛期の彼を超えたと自負しています。しかし残念だかな彼は今はいない人となってしまいました。今では私が最強の騎士です。力を証明できずに不満だった中で、あなたという力を試すのに丁度いい相手に出くわせるなんてなんと私は幸運なのでしょうか」


「そうかそれはよかったな。早速始めるか」


「ルールは武器ありとします。あなたも何か愛用している杖か何かでも取り出したらどうですか」


「必要ないね」


「そうですか。それじゃあ行きますよ!」


「っ!」


 凄まじい速さで剣をカロンシュタールが突き立ててきた。


「この速さにはついてこれないでしょうこれこそこのカロンシュタールの最強の剣術です」


「シュババババババババババ」


「おっと危ない!」


「ば、馬鹿ななぜ当たらない」


 僕はカロンシュタールの剣をすべてかわしていくのだった。動きとしてはあの時のハイフレード並みだったのだが、能力向上が凄まじすぎて余裕を感じた。


「ふう、それじゃあこっちの出番かな」


 僕は無次元変化の力を使ったのだった。


「こ、この魔力はいったい」


「あれから僕も凄くレベルアップしたんだけど、ハイフレードさんの領域には十分達していたので別に悔いることはないですよ」


「う、嘘」


 それから僕は無次元変化の攻撃をカロンシュタールの手前で寸止めするとカロンシュタールは戦慄した表情で立ち尽くすのだった。


「私の負けだ」


 ふうこれで終わったか。


「それじゃあ話を聞いてくれるか?」


「ああもちろんだよ少し頭に血が上っていた」


「一先ずレネの話を聞いてやってくれ。本心で向き合った方がいいぞ」


「レネ様の本心?」


 カロンシュタールがレネの方を見ているとレネはうつむいていた。



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