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41.お茶会潜入

「おいグラス、レネとカロンシュタールがお茶会をするみたいだが」


「成程、お茶会か……」


 式典の前に親睦を深めるという魂胆といったところかな。


「僕達もそのお茶会に潜入するよ」


「えええ? でもどうやって」



「シテリィセリアの干渉能力を使って変装するんだ。僕はちょっと離れたところから念話を送るからレピティとエルカが二人でカロンシュタールのファンの令嬢に変装するんだよ」


「そんなことできるわけが」


「私はやりますよ」


 レピティは躊躇なくそう返答した。


「うっ……わかった私もやる」


「決まりだな! 二人とも頼んだぞ!」 


 こうしてカロンシュタールのお茶会にレピティとエルカが潜入することになった。











ここはカロンシュタールの屋敷。庭園には華やかな装飾品が彩られており、各地からたくさんのカロンシュタールのファンの令嬢たちが寄せ集められた。


「カロンシュタール様のお茶会ですって。なんと相手は王国の王女様みたいですわ」


「それは素晴らしいですね。カロンシュタール様と釣り合うかわ私たちがこの目で見抜かせてもらいますかね」


「来ましたわ」


 たくさん集まった庭園の令嬢たちの前にカロンシュタールとレネが現れた。


「あれが、カロンシュタール様の相手の王女様ですか……素敵!」


「美しい、まさにカロンシュタール様に適任ですわ」


「そうですわね」


 そんな令嬢の中の一人にこそこそ話している二人組がいた。


「おいレピティ、何がそうですわねだ。面白すぎて腹がよじれそうになったぞ」


「なんてこと言うんですかエルカさん、しっかり令嬢を演じ切らないとだめですよ」


「分かっているわ」


 レピティとエルカは令嬢の集団の中に混じることに成功したのである。幸い各地から集まっていた令嬢なため見知らぬ人が混じっていても違和感を覚えられることはなかったようである。



「そこのお二方」


「はい!」


「は、は……はい」


 エルカはかなりぎこちなさそうである。


「わたくしたちと一緒にお茶会の席でお話をいたしませんか? カロンシュタール様とレネ様の挨拶も終わったようなのでここからは自由時間のようですの」


「ぜひお願いいたしますわ」


「お、お願いを申す……」


「おいおいエルカ、しっかり返事しろよ」 


 僕は遠方から念話でエルカにダメ出しをした。


「う、るさ……」


「どうしました?」


「な、何でもありませんわ」


 エルカは危うく令嬢の前で暴言を吐く危険に陥いり、引きつった笑みを浮かべるのだった。


「それでは何の話題を話しましょうか」


「そうですね先ずは自己紹介から行きますか? 私は貴族階級のハルメロと申しますわ。こういったお茶会に参加するのが好きでして、たびたび足を運んでいますの。今回はカロンシュタール様主催のお茶会ということでより一層気合を入れて足を運びましたのよ。じゃあ次はお二人の自己紹介をお願いします」


「え、ええ私たちですか?」


 おお、これはまさかのピンチ展開ではないだろうか。令嬢に紛れてお茶会に参加したのは良いけど、自己紹介をされるなんて思わなかったし、設定も作ってこなかった。これはレピティとエルカの即興能力が問われてくるな。


「お、おいグラスどうするんだこれは」


「何とか耐え忍んでくれ」


「そんなあ……」


 エルカが念話で助けを求めてきたが、僕にはがんばれとしかいうことができなかった。


「わたくしは貴族階級のレピイと申しますのよ。私もお茶会には目がなくてこういった場所に来れてとてもうれしいですわ」


 おお、早速レピティが即興で話を繋げていく。流石である。


「あらレピイ様といいますの。こういったお茶会が好きということはもしかしたら知らない間に私ともすれ違っていたことがありますかもね。こんなタイミングで初対面なんて何があるかわからないものですね」


「そ、そうですね」


 お茶会好き設定になってしまったせいでハルメロさんに常連扱いされていて、レピティはすごく焦っているな、ここは何とか乗り越えてほしいぞ。


「えええ、そんなことより次は私ですね。わたくしはエーマといいます。私も貴族ですのよ。ただこういったお茶会にはあまり参加したことはありませんの」


「ああそうですの? ではなんで今日はこちらへいらしたんですか」


「ええと、それは……」


「それにあなたどことなくレネ王女様に雰囲気が似てますのね」


「いやだ、そんなわけないじゃありませんか」


 かなり戸惑っているけど、がんばれエルカ、というエーマって、エイマさん見たいな名前だな。


「わたくしが誘ったんですよ。エーマとは友達ですのよ。お茶会にはあまり言ったことがないといわれていたため誘いました」


「成程そういうことでしたか」


「そういうことですわよ」


 ふう、よかった何とかレピティのフォローもあって自己紹介は乗り切ったようだ。


「まあ、まだまだ始まったばっかりこっから楽しんでいきましょう」


「そうですね」


 こうしてしばらくハルメロさんと話しながらレネの様子レピティ達は伺うのだった。


「そういえば随分と騒がしくなってきましたね」


「そうですね、ちょっと様子を見ていきますか」


「いいですねそうしましょう」



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