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39.不器用な感情表現

「はあ、面倒くさい奴だよ本当」


「たっくレネの奴、あれだけ私が仕事を手伝ってやったのに、ちっとも感謝というものがないのだろうか」


「そういえばレネの調子は変わらずあんなんだったけど、エルカは王国での生活は大丈夫だったんか。喧嘩とかしなかったんか」


「そりゃあ、まあ、最初はひどいもんだったよ。私がやることなすことすべてに指摘を入れてくるレネ、ただお前と約束したからな。私もあいつの指摘を全部受け止めてどんどん改善していってやった。今では完全にレネの業務を手伝えるようになって、私もかなりの貢献者になったと思った矢先でこの扱いよ」


「ははは、そりゃあ確かに腹立たしいな」


 レネの奴の毒は相変わらずであることが分かった。とは言え、エルカがあいつとの生活を投げ出さずに無事僕が戻ってくるまでやってこれていたというのはエルカ自身の成長を僕は感じたのであった。


「見ていた感じ、レネ王女様というのは気持ちとは反対の行動をとってしまう、おかしいお方なのでしょうか」


「うわあああ!」


 またシテリィセリアがいきなり現れたのであった。


「すいませんグラスさん、またしても私の静止を振り払って、勝手なことを」


 続いてミルティも頭を抱えて現れるのだった。


「まあ、いいよ。シテリィセリアも何かあるんだろうし、それはどういうこと?」


「はい、私の干渉の力は相手の心を読むこともできるのです。それでレネさんはあんなことを言っていましたが、心の中ではグラスさん達の助けを求めている感じでしたの」


「はあ、やっぱりそうなのか面倒くさい奴だな」


「ご主人様も心を読んだのですか」


「いや、そんな力が干渉能力にあるのは今知ったんだけど、それを使おうとは思わないかな。なんだか人の心を読むなんて言うのは、やっちゃいけない気がするんだ」


「ええええ、そうなんですかあ?」


 僕の言葉にシテリィセリアが即座に反応するのであった。


「いや、まあ確かに作戦とかをスムーズに進めるのに使うのは良いけど基本的には日常で使うのはあまりよろしくないぞ。人の心っていうのは繊細な部分があるんだ」


「すいませんでした。次から気お付けます」


「それに、そんなことはここにいるみんなが気づいてるぞ。レネはそういうやつなんだってことに」


「え?」


 シテリィセリアは皆の表情を見る。


「まあそうだろうなレネはそういうやつだ」


「まさにご主人様の言う通りですね」


「そういうことです!」


 エルカとレピティとミルティは案の定レネの奴の不器用な感情表現に気づいていたのである。


「成程……これはまた一つ勉強になりました! このシテリィセリアまた一つ成長できた気がします」


「おお! それならよかった」


 こういった感じで日々の生活の中でどんどんシテリィセリアには成長してもらっていきたいなと思っている。今回も新しいことを学んだようで何よりだと僕は感じた。


「しっかしとはいえ直接追い返されたからな、少々強引な手を使うしかないのかもしれないぞ」


「強引な手とは?」


「作戦名は〈攫い〉だね」


「うわっ、なんか感じ悪い名前だな」


「ご主人様の表情が凄く悪そうです」


 作戦名をみんなに伝えると僕は少しだけ、みんなにひかれていることに気づくのだった。


「とはいえ一先ず隣国の王子の同行とスケジュールの調査をしようか」


 僕の意見は満場一致で受け入れられた。












「景色が綺麗ですね」


「え……ええ、もちろんです」


「どうしましたどこか顔が青ざめていますけど体調が悪かったり?」


「いえいえ、別にそんなことはありませんわカロンシュタール様」


「そうですか、ならよかったです」


 きいいいい! 景色が綺麗ですねってなんですの? この浸っている感じが最高に気持ち悪いんですけど。


「しかし私もうれしいですよ。まさか本当に私のプロポーズをお受けになってくれるなんて。シュレッタ王国は現在あまたの欠員によって非常に不安定な状態に陥っているとみて取れます。そんな状況を何とか私共としても改善してあげたいなと思いましての提案だったのですが何よりです」


「そ、そうなのですか」


 まったく随分と上から目線ですわね。しかし私もかなり力を入れて入るものの父上のころとは情勢がまだ安定しないというのは曲がりもない事実、何の反論もできないというのがなんとも情けないところですわ。


「シュレッタ王には大変の温情があるのです。ここらへんで恩返しをしたいところですね」


「私も多大な富を持つカロンシュタール様とこうして話せてなによりですわ」


「そうですか、でしたら唐突ですが式典とかあげせんか?」


「し、式典?」


「ええ、まあプロポーズを受けたということはそういうことですよね。私との交際の証として式典を上げるというのは素晴らしい機会になると思うのです」


「し、しき、式典?」


「どうしました、なんだか震えているように思えますが」


「な、何でもありませんよ! 式典ですか。分かりました。早急に準備をしませんとね」


 こんなことになるなんて考えてもいませんでした。今更断ることもできませんし、これも仕方のないことなのかもしれませんね。


「それじゃあ式典の日程を決めましょうか」


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