25.デレ精霊
いきなり何を言っているだこの原初の精霊は、僕はそんなことを思いながら事態を改善するために仕方なく手をつないでやった。
「暖かいですね。やはりあなたは素晴らしい才能の持ち主です」
「精霊も温度を感じることができるんだね。それに透けないのは驚いた」
「あなたの精霊術師としての練度が上がっている証拠ですよ、ミルティさんと相当長い時間を共にしたのでしょう、グラスさんは精霊に触れることができるようになったといえます」
そういえばミルティと触れ合ったことはまだなかったな。意外な発見をしたのである。
「♪」
「……っ!」
いきなり音を奏でだすシテリィセリア、なんだか聞いていて心が心地よくなっていくようである。
「原初の精霊は人々に癒しを与えることができます。その効果は通常のパフォーマンスを向上させるいわゆるバフのような役割をするのです。結構エネルギーを使うので使いたくなかったのですが、グラスさんが提案に乗ってくれたので特別ですよ」
「そんな効果があるのか」
確かに言われてみれば、さっきより解析がスムーズに進んでいる気がする。
「ありがとう、この様子なら少しでも早く終わりそうだ」
「それはよかったです」
とはいえ僕はまだまだ解析をする必要がありそうなので、シテリィセリアと引き続きこの空間で過ごすことになりそうなのだった。
「グラッスさんあちらを見に行きましょう!」
「グラッスさんって……」
あれから妙にテンションが高くなったシテリィセリア、どう考えても最初の神秘的なイメージからのキャラ崩壊である。
シテリィセリアが指をさした先には湖があった。一体どうしてこんなところに湖が。
「パシャッ!」
「冷めたっ!」
「そんなに暗い顔をしていては先が思いやられますよ。もっとフレッシュにいきましょう」
「バシャっ!」
「やめろって!」
シテリィセリアの奴僕が魔力解析をしているのをしてるのにもかかわらず水をかけてくるのだが、今は水遊びなんてしている暇はないのだが。
「そんなに拒絶するなんて酷い……」
「え?」
気が付けば強く拒みすぎたのか、僕は目の前のシテリィセリアの目が潤んでいることに気づいた。
「いや、ちょっ、そんなつもりはなかったんだって……ほら、今から好きなだけ遊んでやるから」
「本当ですか?」
「そうだよ、さっきは反射的に手が動いちゃっただけ」
そういうとシテリィセリアは嬉しそうに笑顔になるのだった。
「ありがとうございますグラッスさん!」
「グラスなんだけど……」
こうして僕はロイデミレタの魔力解析を行いながらシテリィセリアと水遊びを強要されることとなるのだった。
「そういえばロイデミレタの奴はこれからどうなるんだろうな。シェヘレラフォード様にあんなことを言って完全に精霊会に対する反逆行為ではないのか」
しばらくたって依然と僕はシテリィセリアと一緒にロイデミレタの空間を散策していた。
「彼の力はすでに精霊会を掌握しうるレベルにまで達しているに違いありません。おそらくシェヘレラフォード様でさえも彼を制御することはできないはず、遅かれ早かれこういう事態になっていたとは思いますが、グラッスさんが決定的なトリガーになったといえますね」
「ええ僕のせいなのか……というシェヘレラフォードさんは随分とあっさり精霊会の掌握を許したもんだな」
「おそらくですがあの方の性格上わざとこの展開を運んで楽しんでいる気がしなくもありませんね。それにグラスさんがこのタイミングで現れてロイデミレタが動き出すのもすべて計算の上でのことかもしれません」
「え……そんなことがって思ったけど普通にありえそうなのが逆に突っ込みたくなるんだけど」
「それにシェヘレラフォード様はこの空間内にロイデミレタの動きを封じる手立てがあると言っていましたよ。一緒にそのすべをこれから探していきましょうグラッスさん!」
「いや、そんな大切なこと最初に言ってくれよ!」
こうして僕は魔力解析に加えてロイデミレタ封じのヒントを空間内で探すことになるのだった。
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