24.解決策
「ミルティとレピティは一体どうしちゃったんだ」
僕はシテリィセリアの浮遊魔法で意識を失いながら運ばれているミルティとレピティの姿を見ながらそう尋ねてみる。
「お二方はおそらくロイデミレタの空間に浮遊する魔力濃度に耐え切れないのでしょうね。お二方はこれまであなたの力を借りすぎていたのではありませんか。ロイデミレタの魔力はそのものの真なる実力を映し出すもの、借り物の力のものはこのようになるわけです」
「そんな、じゃあ二人は目を覚まさないのか」
「通常ならこの空間を脱出しないといけないという話になりますが、あなたなら何か解決策を導きだせるのではありませんか」
「解決策……」
僕はシテリィセリアが唱えた言葉を思い出していく。その中で解決策を導き出した。
「そうか、ロイデミレタの空間の魔力濃度が二人に影響を与えているなら、その魔力濃度を僕の能力で変えてしまえばいいんだ!」
「……そう簡単にいきますかね」
シテリィセリアが僕がその答えにたどり着くということを予期していたかのようにつぶやきだした。
「やってみなきゃわからないだろ! 分析!」
僕は普段通りロイデミレタの空間内魔力の中にある魔法陣を分析しようとした。
「これはどういうことだ。通常と比べて魔法陣内の魔力の粒子の大きさが小さすぎるのか、すごくわかりにくい、これは時間がかかりそうだ」
「思い出してくださいグラスさん、あなたは魔王ブォネエセテラと戦ったときに魔法の分析はできましたか?」
「いや、僕は確かあの時魔王の独自に魔法陣の構造に能力を使うことができなかった」
「そうですよね、ロイデミレタはそんな魔王の元となる力の持ち主、卓越した演算能力を持っているのでそう簡単には分析できませんよ」
「そんな……二人が倒れているのに、僕は何の力になれないのか」
今まで万能だった僕の能力であるが、久々に無力感を感じた。
「しかし頑張ればいけるかもしれません。この空間はロイデミレタの能力のほんのいったんです。グラスさんもあの時の戦い以降おそらく相当力をつけたのではないですか?それならこの難局も乗り越えられるかもしれません」
「僕にできるのか……」
シテリィセリアの言葉に少しだけ励まされた気がする。
「ええ、時間はあります。少しずつこの空間を探索しながら、魔法陣の構造解析を進めていきましょう」
「分かった」
こうしてレピティとミルティを目覚めさせるために、ロイデミレタの空間の魔法陣の解析を僕は行いながら、シテリィセリアとともに僕は空間の探索をすることになるのだった。
「な、なあ、さっきからこっちをジロジロ見るのやめてくれないか。すごく気が散るんだけど」
「すいません、本能的にこのような状態になってしまっていました」
シテリィセリアは魔力解析を行いながら歩いている僕の方をジロジロずっと見てくる。悪くない気分ではあったが、さすがに気が散ったため、注意を入れた。
「解析の方は順調ですか?」
「いや、まだ全然だな」
「先が長くなりそうですね」
「まあ力足りずを感じるばかりだよ。何か解決策とかないのかそっちは。原初の精霊なんだろう」
「面白いことを聞きますねグラスさん、それは私を煽っているのですか?」
その時顔を近づけて再びこちらを見てくるシテリィセリア、こいつは僕が言っていることを聞いていなかったのだろうか。
「そういうわけじゃないよ」
少し動揺してしまったが何とか答えを絞り出した。シテリィセリアの見た目はただでさえ神秘的で透き通った感じである、そんな容姿でこのようなことをされると動揺するというのも無理もないことではないだろうか。
「まあ、そうですね。私にも原初の精霊として何も役に立てないというのは少々納得できないものがあります。ですので少しだけ力をお見せしましょう。ただし条件がありますよ」
「条件とは」
「私と手をつないでくれませんか」
「え?」




