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21.原初の精霊


 目の前に現れたのは紛れもないシテリィセリアだ。初めて会ったのは勇者セルファシアとの戦いのとき、勇者の切り札として現れていた。


 あの時は何故か初めて会ったのに、そうではないような近しい感覚を感じていた。



「私はいずれまたあなたとこうして巡り会う時が来ることを予期していましたグラス様」


「どうしてここに!?」


「ああ、そこからでしたね。原初の精霊シテリィセリア、私はこの精霊会に祀られている神なのです」




 精霊会は真なるものをあがめる組織、シテリィセリアが作ったのは大精霊シェヘレラフォードとのとある約束を果たすためである。


「私は本当にお待ちしていました。グラス様、あなたのことを待ち焦がれていました」


「待ち焦がれていたってどういう……」


 顔を赤らめて手を広げるシテリィセリア、このような性格とは知らなかったためかなり動揺してしまった。


「ご主人様どうしたんですか、目に光が消えていますよ!」


「はっ! ありがとうレピティ」


 僕は気が付けばシテリィセリアの表情に魅了されていて、意識を取られそうになっていた。ギリギリのところでレピティに引き戻されて助かった。


「シテリィセリアさんはご主人様とは知り合いだったのですか」


「いや、そういうわけではないんだが、どうも調子が崩されて意識を取られそうになっていた」


「そんなことがあるのですね。一先ず無事でよかったです」


 再び僕たちはシテリィセリアと対面する。彼女は変わらず僕に微笑みかけてくるのだった。


「いいですねパートナーの絆というのは、私見ていて思わず見とれて行ってしまいます」


 そういうとさらにシテリィセリアから感じられる何かが強くなり、再び意識を取られそうになるのだった。


「これは……まずい」


「いい加減にしてください!」



「……っ!」


「なんですかあなたいきなり、その色目を今すぐやめてください」


 気が付けば僕が呼び出していないのにミルティが背後から現れるのだった。



「はっ……」


 シテリィセリアは驚いたという表情をして口に手を当てる。


「ミルティどうしたんだいきなり」


「いいですかグラスさん、さっきあのものがした行為は精霊の魅了術です。親和性の高い対象に誘惑を仕掛けて自らの意志と同調させようとする、普通の人にするならまだしも契約精霊が既にいるグラスさんにそんなことをするなんてあまりにも非常識極まりない行為ですよ」


「そんなことをされていたのか」


 僕はシテリィセリアをにらみつける。


「どういうことか説明してくれないか」


 僕が問いただすとシテリィセリアの表情は悲しそうな様子で表情を崩し出す。


「やめてください……私にそんな表情をするのは、私はただあなたに会いたかった、それだけなのに」


 その時シテリィセリアの体の中から激しい魔力が流れ出す。その様子を見ていた大精霊シェヘレラフォード様は慌てて動き出すのであった。


「いかん! こんな事態は想定外だぞ」


「ううう……私はただ会いたかっただけなのに、私を拒絶するの?」


「ドドドドドドドドドドドドドド」


 精霊会の大精霊の建物内部では凄まじい振動が怒り出すのであった。




「押さえろシテリィセリア、お前は私との約束を忘れたか」


 その時、シテリィセリアにささやく大精霊シェヘレラフォード様、その後様子が変わりだす。


「うううううううう……ふう……すいませんみなさん少々取り乱してしまいました」


「なっ……」


 僕たちはあっけにとられているのだった。特にミルティはシテリィセリアの異質さに気づき勢いを失って押し黙ってしまうのだった。


「さて、続きを話しましょうか。原初の精霊とは何なのかについてを」


 そしてシテリィセリアは自らの伝説とその真相について話し出した。


















 原初の精霊――勇者セルファシアの魔力はそれによって作られたもの。


 その魔力は寄贈、対象に何かを伝達する。伝達するものは何者でもない概念的なもの。


 例の通り勇者の魔力は出力能力を格段に向上させる、これは原初の精霊の寄贈能力によってあげられたものだった。


 しかし原初の精霊は単体ではない、故にシテリィセリアのみが原初の精霊ではない。


 長い年月の中で自我が芽生えてそれは姿や形を変えて移り変わっていく。


 その周期が今のシテリィセリアなのだ。


 原初の精霊はその柔軟さ故にあらゆる色に染めることができる。


 少し前までは運命的な出会いを果たした勇者と共鳴し使命の色を纏った原初の精霊シテリィセリア、しかしいま彼女の色は勇者を倒した目の前にいる存在に適合するものに変わっているのである。


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