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19.勝負の結末



「ググゴゴゴゴゴ!」


 地下にいるヘビーイーターに遂に接触した僕、しかし同時期にコルネへタとも対峙することとなった。


「ほう、中々早いじゃないか。俺と同じくらいの時間にここまでたどり着くとは」


「妨害をしておいて随分と平然としていますね。僕は第二支部の襲撃を処理してここに来たんですよ」


「何? 第二支部、そんなのは知らんぞ。おいシレネへリン、どういうことだこれは」


 コルネへタは背後にいたシレネへリンに詰め寄る。


「……」


「おい、貴様何を黙って……なっ!」


 次の瞬間コルネへタの側にいたシレネへリンは変わり身であって塵になって消えていくのだった。


「やっぱり偽物でしたか。コルネへタさん、あなたもまんまとシレネへリンの奴に騙されていたんですよ」


「そ、そんな馬鹿な! あの野郎許さねえ!」


「ぎゅわあああああああああ!」


 次の瞬間ヘビーイーターが戦闘態勢に入る。


「一先ず、こいつを先に処理しますか。いくよレピティとミルティ」


 僕の問いかけに2人とも応じる。


「ふん、シレネへリンの野郎は後で俺が処理する。一先ずこいつを勝たせてこの勝負を終わらせてやる。


「ひはあははははははは」


「!?」


 その時ヘビーイーターの頭上からシレネへレンが怪しい笑い声を放ちあらわれた。


「てめえ、シレネへレン! よくも俺様を騙したな」


「黙れよ最下位の幹部の三下が、私はもっと偉大なかたを主としているんだよ」


「なっ」


「グラスまさかヘンリレネの襲撃を処理するとは驚きですよ。ですが今度はどうですかね」


 するとシレネヘンリは怪しげな札をヘビーイーターに付与する。次の瞬間アビスイータは巨大で凶悪な姿へと更なる変貌を迎えることになるのだった。







巨大になったアビスイーターは凄まじい、圧を放つ。


「面白そうじゃねえか」


 真っ先に飛び出したコルネへタ、凄まじい勢いでヘビーイーターに突っ込んでいく。接近戦を得意とするのだろうか。手には大剣を持っていて豪快に振りかぶろうとしたのだった。


「攻撃バフ付与」


 そう言うとコルネへタが赤色のオーラを纏う。これによりスピードとパワーが上昇したようである。


「ぎゅわあああああ!」


 そしてヘビーイーターをコルネへタが切り裂くのだった。


「少しはこたえたかな?」


「ぎゅわあああああああ」


「何!? ぐはっ!」


 ダメージを与えて油断していたコルネへタが隙を付かれてヘビーイーターに吹っ飛ばされた。


「あはははは、流石第五位、幹部とは言え最下位は大したことないですね」


 そんなコルネへタの様子をみて、シレネへリンが笑い出した。


「次はお前の番ですよグラス! ヘンリレネの時はしくじりましたが今度こそお終いです」


 シレネへリンが指さしてくるとヘビーイーターが僕の方へ襲い掛かってきた。


「ご主人様来ますよ」


「ああ、分かってる」


 僕は普段通り分析の能力を使おうとしたが、その時ヘビーイーターの周囲に凄まじい衝撃波が巻き起こる。


「ズドーン!」


「ぎゅわあああああああ!」


「!?」


 間もなくヘビーイーターは力尽きて倒れるのだった。


「久しぶりだなグラス」


 現れたのはスワラリフォードさんだった。


 



 最初に僕が署名を貰った幹部スワラリフォードさん、精霊会第三位で戦ったところは初めて見たのであるが、まさかあのヘビーイーターを一瞬で倒してしまうとは、なぜこれほどの力を持っていて第三位なのだろうか。


「随分と圧倒された様子だな」


「それはまあ、第二位のヘンリレネさんとさっき戦ったのですが、全然違う強さでしたので」


「まあ、精霊会の幹部の位は強さで決まるものではないからな。もちろん強さも一つの指標であるが、精霊会への貢献度によってきまる。私より第二支部はそこが上回っていたのだろうね」


「成程そう言う事でしたか」


「さて」


 スワラリフォードさんは姿を消すと、一瞬でシレネへレンの背後に回り身柄を捉える。


「ひえっ!」


「貴様だなこそこそと私の第三支部に工作を仕掛けていたのは」


「そんなわけ」


「しらばっくれるな。既に目撃者と映像も残っている」


「どういう事なんですか」


「私はこいつを追ってここまで来たんだ、シレネへレンは第一支部ロイデミレタの手先だ」





 うろたえるシレネへレンはスワラリフォードさんに命乞いをするように膝をおとす。


「なんでそこまで筒抜けなんですか! この通り謝罪致しますので今回は許してくださいませんか」


「断る。貴様は第一支部ロイデミレタの命令で第二支部の幹部ヘンリレネを欺き操り、我が第三支部への危害を加えた。この罪は身をもって償ってもらうぞ」


 スワラリフォードさんの剣がシレネへレンに向けられたのだった。


「ひいっ!」


 目があり得ない方向へ泳ぎだすシレネへレン、かなりの危機を感じているようだ。


「もうこうなったら仕方がない。私はロイデミレタ様の威厳を保つために最終手段に出ることにします」


「貴様!」


「おいおい嘘だろ!」


 シレネへレンは自らの服を破り捨てると、身体に爆発魔法が付与された。


「ご主人様、爆発魔法です!」


「ああ分かってる、分析……嘘!?」


 シレネへレンの魔法を分析しようとしたが、この魔法陣は特殊なようで分析が出来なかった。まるで魔王や勇者の時の戦いを思い出すかのように。


「お終いだよ!」


「ドガあああああああああん」


 辺りはシレネへレンの爆発魔法に飲み込まれるのだった。


「面白かった、続きが読みたい!」


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