12.第四支部
「関係者ねえ」
今回署名を貰うために第三支部の信頼を勝ち取ることになったわけであるが、第二支部とは敵対する形になってしまった。
精霊会の構造をみるにそれぞれの支部は互いに格を上げるように日々競い合っているように見えるし、これは一つ署名を貰うのに一つの信頼を失うことになりそうだ。
「やっぱり三つ目の署名が勝負になってきそうだな」
「そうですね」
「次はどうするか、一先ず第二支部には狙われているから手先に気お付けながら、第五支部、第四支部、第一支部の内のどれかから信頼を得る必要があるけど」
「この中で一番かかわりがあるのは第四支部の方ではないでしょうか。以前ダンテカビス様に第四支部の人が襲われていたのを覚えています」
「あの男か」
第三支部に気お付けろと忠告してきた男、まあ結果的に成果主義と言っただけで、僕達は問題がなかったわけであるが、今のところ頼れそうなのはあの男くらいだから第四支部を尋ねてみるかな。
「よし、そうと決まれば早速行こうか第四支部に」
「了解致しました」
第四支部に訪れた僕達であるが、知り合いの男は見かけなかった。
「うーん見当たらないな、結局知らない人に話かけるしかないのであろうか」
「そうですね、ツテがないと途端に難易度が上がりそうです」
そんなことをレピティと話していると僕は突如第四支部の見張りに話しかけられた。
「おいそこのお前等、見ない顔だがここは第四支部の拠点だぞ、用がないならとっとと出て行ったらどうだ」
槍を突き立ててくる見張り、流石に抵抗するのも大ごとになりそうだしここは引くしかないのだろうか。
「わ、分かりましたよ。間違って入ってきちゃったみたいです。今すぐ出ていきますよ。行くよレピティ」
「分かりました」
僕達が第四支部の拠点をしぶしぶ出ていこうとしたとき、聞き覚えのある声が聞こえた。
「おい、お前達なんでこんなところにいるんだ」
そこにはダンテカビスに襲われていた第四支部の男がいたのだった。
「あなたはあの時の! 丁度良かったです。あなたに話があってきました」
とても運がいい気がした。しかしどう話を切り出していこうか。
「とりあえずまた運よく会えたことだし、座って話でもしようか」
僕はダンテカビスに襲われていた男に案内されて第四支部の休憩所に入っていった。
「先ずは自己紹介からだな、俺は第四支部に所属しているメンバーの一人、一時期隊長の座を任されようとしていたが、ダンテカビスの奴に妨害されて今はただの部下をやっているロネルヴィネというものだよろしく頼む」
「ロネルヴィネさんと言ったんですね。僕はグラスというものです。宜しくお願いします」
「それで、ちょっと気になっていたんだが、お前は第三支部に入ったんじゃなかったか。実際の所どうだったんだよ」
ロネルヴィネによって僕は第三支部が少し危うい組織という事を知らされたわけだ。しかし内情は多少制約に厳しい程度でそこまで危険というわけではなかった。つまり内部情報は隠されていて他の支部の物に安易に話すわけにはいかないだろうな。
「ちょっとよくわからなかったです。直ぐにクビになってしまったので」
「そうでしたよね」
僕の嘘を察してレピティも併せてくる。
「そうなのか、そりゃ残念だったな。っていう事はあれか新しい当てを探しているってところかな」
「そうなんですよ」
「分かった、そしたら俺が助けられたという恩もあるしな、第四支部に来いよ。精霊会幹部第四位へテレミレア様に俺から駆け寄ってやるよ」
「ロネルヴィネはそんなことができる奴だったのか」
「さっきも言っただろ、ダンテカビスに妨害されて少しだけ信頼は落としたが一時期は副官に近づいた男なんだ、まだまだ信頼は厚いんだよ」
そう言うとロネルヴィネはついてこいと手を振るのだった。
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