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10.第三支部任務


「チっ、私が案内役です。付いてきてください」


 どうやら不満があるようであるが、案内役というわけ合って特に何もしてくる様子は見なかった。敬語なのに舌打ちって……。


「ここがお前達の部屋だです。それで任務が来たら呼びに行くからその時は応答するんだなです」


「お、おお、なんか悪いな」


「……」


 やはりダンテカビスは敬語に非常に不満そうである。


「勘違いしないでほしいですね、スワラリフォード様の加護がなければあなたは即刻私が始末していますわ」


「それは困るな」


「フン」


 そう言うとダンテカビスはその場から去っていった。


「中々に恐ろしい目で見てきますねダンテカビス様は」


「そうだね、やっぱり僕恨まれていたみたい」


「いざとなれば私が止めてやりますよ!」


「お、レピティもそんな強気な発言を出来るようになったんだな」


「ちょっ! やめてくださいよ」


 僕はレピティとじゃれ合うと、その夜精霊界第三支部の部屋で二人きりになって楽しいひと時を過ごした。




「おいお前等今日は第二部隊の陥落を狙うことにする」


 ダンテカビスの指令の元僕達は敵拠点へ向かうことになる。また敬語ではなくなっていた。


「あれ? 話し方また変わった」


「やっぱり敬語は無理だからスワラリフォード様に話をつけてきた」


「そうなんだ」


 よっぽど嫌だったんだな。


「しかし陥落って内部抗争じゃねえか。そんなに精霊会というのは内部状況は荒れているのか」


「お前と会ったあの時も第五支部の妨害を図っていた場面だったんだよ。私が妨害した男はかなりの切れ者でな、第四支部の中で権威を持つと後々厄介になるとみて妨害したんだよ。それくらい内部状況は熾烈なんだ」


「成程、そこで揉めていたところに僕がいたという事か」


「まあ、結果的にはうちの陣営にお前は所属することになったのだからあの時の事は私は見逃してやってもいいと言ったところだな」


「そんなこと言ってるけど本当は裏で僕に何する気なんじゃないか」


「ふんふんふん、それを当人の前で言って何か意味があるのかい」


 ダンテカビスの怪しげな視線に僕は思わず苦笑いをすることになるのだった。


「来たぞ、第二支部の副官だ」




「第二支部長ヘンリレネ様の副官シャスダべ様こちらへお越しください」


「どうやらアイツを倒せばいいのではないだろうか」


「よしじゃあ行くぞ」


 今回の作戦は副官シャスダべの業務を破綻させるというものである。


「シャスタべは密かに研究をしている。精霊会では魔法を人工的に変位させる行為は禁じられているが、それを破っているのだ。そして自らの研究施設で作りだした魔法道具を密かに売りさばき、支部の資金へと当てているというわけだ」


「じゃあ、その研究施設の事を突き止めればいんじゃないか」


「そう簡単にはいかないんだよな」


「どうして」


「シャスタべの能力は格納の能力、奴の固有空間に施設を隠すことができる。精霊会のルールとして個々の能力は尊重される傾向にある。こちらの誓約が優先されるというわけだ」


「そうなんだ。それじゃあやはり直接干渉するしかないという事か」


「そうだ、果たしてどうやって奴の懐に潜ろうかどうか」


「では僕に任せてくれないか」


 僕はダンテカビスに自分の考えを提示した。




 僕は今シャスタべの格納能力の中にいる。能力の中には研究施設が広がっているわけだが、なんとか不意を突くことに成功できた。


 シャスタべは日中になると一人で休憩を始めて格納の能力の壺を出して眺めているそうだ。僕はその不意を突いて姿をくらます迷彩と暗示をかけて壺の中に侵入した。


 これによってシャスタべに能力を発動させて壺の中へと侵入を果たしたのだった。


「とはいえ随分不気味な施設だな」


「そうですね」


「いやお前達、しれっとしているが、本当に凄い奴らなんだな。普通こんなに簡単に侵入なんてできないぞ」


 ダンテカビスは僕達の能力の凄さに感心した様子を示す。


「ご主人様にとってこの程度の事は朝飯前ですよ」


「おいおい、やめてくれよレピティ」


「そんな遠慮しなくていいんですよ」


「遠慮なんかしてないし」


「おい、お前ら! ここでいちゃつくな!」


 ダンテカビスによるツッコミが僕達の元へ放たれるのであった。


「凄い機械の数々、精霊会のイメージからはかなりかけ離れていますね」


「そうだよなあ」


 魔法と機械というのはかなりかけ離れたものである。精霊会はどちらかというと神秘的な超常的な力である精霊を信仰しているだけであり、こういった機械というのは凄く心情に反しているのではないだろうか。


「やっぱり、シャスタべの奴を野放しにしていたのは不味かったな。この発展具合は明らかに精霊会が許容できる範囲を超えている。この事を通告すればあいつも終わりだろうな」


「それじゃここの状況を大精霊様に通告してミッション完了だね」


「ああ、一先ずここを記録魔法で保存をすることから……」


 その時何者かの足音が聞こえた。


「誰だ貴様ら!」


「まずい気づかれたぞ! この声はシャスタべだ」


「どうしますか、ここはいったん退避します」


「いや実力行使といくか」


 ダンテカビスは悪い笑みを浮かべるのだった。


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