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9.第三支部

「待って下さい、スワラリフォード様! こんな奴をうちの陣営に入れるんですか」


「何か文句があるか?」


「い、いえ、何でもありません……っ!」


 ダンテカビスはこちらを睨みつけてきた。かなり僕は恨まれているみたいだ。思わず苦笑いがこぼれてしまう。


「それじゃあついてきてくれないか」


「ちょっと待って下さい。僕の連れの子もメンバーに入れてもらっていいですか」


「構わないぞ一緒に来ると言い、私達は先へ言っている。」


「ありがとうございます」


 こうして僕はレピティに事情を話して、説明されたスワラリフォードの陣営を尋ねることとなった。


「ちょっとそこのあんた」


 そんな中僕はダンテカビスに追い詰められていた男に呼び止められた。


「さっきは俺を助けてくれてありがとうな」


「いえいえ」


「助けてもらった恩として少し情報を上げたいのだが、あんたスワラリフォードの陣営に行くんだって言ってたな」


「ええまあそうですけど」


「奴には気お付けたほうがいいぞ。第三幹部スワラリフォード、アイツには黒いうわさしか聞かない」


「そうなんですか」


 会った感じ、別にそんな危機感は感じなかったけどな。


「忠告だけはしてからな。身の危険を感じた時に備えて他の陣営に移れるようにつてを持っておくことを推奨するぞ。じゃあな」


「あ、ああ、ありがとうな」


 そう言うと男は手をかざして去っていった。


「何か嫌な予感がしますねご主人様」


「でもやるしかなさそうだよ」


「そうですね」


 僕達は不安を感じつつもスワラリフォードの陣営へと足を踏み入れるのだった







「早速きてくれて歓迎するよ。先ずはうちの精霊会第三支部が現在どうなっているかを知ってほしいと思う」


 スワラリフォードさんは机に手を掛けると、僕達に対して状況説明を始めた。


「精霊会は大精霊シェヘレラフォード様を崇める5人の幹部によって構成されている。そして幹部の下には支部が作られているんだ。ただ支部に入れるのは精霊会の中でも実力を持った者だけ、それ以外の物は有象無象としての信徒となる」


「そうなんですね、その中の第三支部に僕は所属できたという事ですか」


「そうだぞグラス、私の温情に感謝するがいい。お前は精霊会において相当の地位を手にしたのだ」


「それは良かったです」


「さて、続けさせてもらうが、私は現在精霊会幹部において第三の地位を与えられている。しかし私は現状この地位に満足してない。この意味が分かるか」


「下克上を狙っているという事ですかね」


「そうだ」


 随分と内密な情報を僕に話してくれたものだな。


「いいんですか、そんなことを画策して、しかも得体の知れない僕にそんなことを話して」


「構わないさ、お前は私を売るようなことはしない。私は目を見るだけでそのものの性質を見抜くことがきる。お前たち二人は人を裏切るような人物ではない」


 目を見ただけでその者の本質を見抜いてしまうとはスワラリフォード様は一体どんな能力を持っているのだろうか。


「さて、とはいえこのことを聞いてしまったからには、君達への信頼を私が示したことになる。以降君達には他陣営への介入をすることを禁じる」


「え? そんなちょっと強引すぎませんかね」


 僕は強制的に契約を結ばされた感覚にこの時陥った。


「ご主人様……この方から凄いオーラを感じます」


「言い忘れていたが第三支部では私が君主、私への他言は罪に値し即刻裁きを下すことになる」


「は? 何ですかあなたいきなり」


 レピティが反論しているも、ここまでは何となく実は予想出来ていた。スワラリフォードの黒い噂とはこの事であったのだろう。


 ここで強引に争えばそれこそ、面倒な事態になるし一先ずこの第三支部で彼女の誓約に従った方が効率としてよさそうだ。


「レピティ問題ないよ」


「ご主人様?」


「いいですよスワラリフォードさんあなたの提案に従いましょう」


「ふん、お前ならそう言うと思っていたよ、それじゃ使いの者が用意した持ち場に戻ると言い」


「分かりました」


「あっ、待ってグラス、言い忘れていたが、私はお前が考えていることは大方予想がついている。具体的には分からんが、私への協力の取り付けを伺っているのだろう? お前の支部での頑張り次第では私はお前の協力を強めるつもりであるとだけ言っているぞ。私は義理堅い事をモットーにしているんだ」


「鋭いですね。その時に期待しておきます」


 こうして僕はスワラリフォードさんの部屋から出ていくのであった。


「ご主人様、かなり危ない状況でしたね」


「まあ大方予想通りだったかな、黒い噂も本当だったし、でも一目見た時からスワラリフォードさんは芯が通った人物であるとは予想できたよ。一先ず僕達は第三支部で活躍してスワラリフォードさんの信頼を勝ち取るんだ」


「流石です! 私も頑張ります」


 そうレピティと話していると見たことがある人物が僕達の前に現れた。


「て、てめえ、本当に来やがったんですか」


「お前は……確かダンテカビス!?」


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