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8.精霊会序列第三位

「シレネへリン?」


 僕がシェヘレラフォードの部屋を出ていくと外にはシレネへリンがいた。しかし様子が何処かおかしいようである。


「シレネへリン?」


 僕がシレネへリンに問いかけるとシレネへリンは突如発狂しだした。


「はああああああああ!」


「……っ!」


 突然すぎる彼の挙動に思わず僕はびっくりする。


「なんでだよ! せっかく僕の新しい弟子が出来ると思ったのに、おかしいですよ大精霊様!」


「お、おい、シレネへリン大丈夫か?」


「あん?」


 シレネへリンは僕を睨みつけてきた。


「なんだよ、その態度は……」


「ああ、グラス様でしたか。大精霊様にお認められて大変めでたい事で。以降私達の関係は競争相手ということになりますので、気安く話しかけないことをお勧めします」


「ちょっなんだよ急に」


 冷ややかな態度に豹変するシレネへリンは僕の前から姿を消していくのだった。


「なんなんだアイツは……」


「随分と腹立たしい態度でしたね」


「うーん、どうやら精霊会に入ったことによってかなり大変な状況になってきたと言ったところかな」


 しかし幹部を説得とは中々に難しくなりそうだ。唯一の協力してくれそうなシレネへリンもアレとなるとどうしたものか。


「一先ずですが外に出てみましょうご主人様」


「そうだね」


 僕達は外へ出ることにした。




「なんだ、なんだやけに外が騒がしいな」


 外に出ると人だかりが出来ていた。精霊会の信徒たちが集まっているようだが、何やら揉めているのか。


「貴様! よくも卑劣な手で私の席を奪ってくれたな。決闘だ決闘! 今すぐ私とここで勝負しろ」


「プークスクス、この私と負け犬のあんたが決闘って、身の程を知るべきだと思うのですが」


 どうやら信徒同士の争いが始まったようだ。僕達はたくさんの信徒に紛れて争いの様子を見てみる。


「いでよ召喚獣マキア」


「ぎゅわあああああああ!」


 信徒の男は召喚獣というと手元の札からキマイラのような見た目をした魔物を召還した。


「ふーん、召喚獣ね……あなたは第4幹部へテレミレアの所の使いかしら」


「そうだが、貴様は何処の幹部様の部下だ」


「私は序列第三位である第3幹部スワラリフォード様の部下ですわよ。しかも第三支部内で序列第2位副支部長ダンテカビス様とは私の事。あなたご存じないのかしら」


「ふん、あいにく他の支部の奴らの事は興味ないんでな」


「あははははは、あなたみたいな末端に私の秘匿情報が漏れるわけないでしょ。何意地を張っちゃってるの?」


「き、貴様あああああ!」


 男は怒ってダンテカビスに召喚獣をけしかけた。


「はあ、やれやれ、その程度で私に立てつくだなんてね」


 ダンテカビスの殺気を感じ取った僕は男の身の危険を感じ直ぐ様に行動に移す。


「あれはまずい」


「どうしましたご主人様」


「レピティ、ちょっと荷物を見張っててくれないか」


「分かりました」


 僕はシェヘレラフォード様から支給された精霊会のローブが入った荷物をレピティに任せて、即座に走り出した。


「ふん、消えな!」


 ダンテカビスは手に纏った閃光を男に振りかざそうとする。


「バキキキキーン!」


 その時僕は出力によってダンテカビスの腕を掴み攻撃を無効化した。同時に男の腰が抜けて召喚獣が消滅する。


「何お前? はなしてくれない?」


 ダンテカビスは掴まれた僕の手を思いっきり振りきる。


「同じ精霊会の信徒を葬ろうとしていましたよね。こんなことして良いんですか」


「ふん、知った事か?」


 次の瞬間僕の方へ閃光を纏った打撃を再び繰り出してきた。


「やれやれ、先に手が出るタイプか」


 僕は再びダンテカビスの攻撃を無効化しようとするも、突然ダンテカビスを何者かが静止した。


「おい貴様、私のいないところで何勝手な真似しているんだ」


「す、スワラリフォード様! す、すいませんでした」


 スワラリフォードってさっき言ってた第三位の精霊会の幹部の事か。


 蒼白の髪に鋭い眼光を見せ騎士の格好をしているスワラリフォード、その圧倒的なオーラは僕の知っている人だとゼーネシアさんやハイフレードに近しいものを感じた。


「ふん、そこのお前、うちの副官であるダンテカビスの攻撃を無効化するとは中々やるな。見ない顔だが、新入りか?」


「ええ、さっき精霊会のメンバー入りを果たしたばかりでして」


「成程な、つまりは無所属という事か……ふん面白い! そしたら私の陣営に来ないか? 名前はなんといったか……」


「グラスです。僕がスワラリフォードさんの陣営に入っていいってことですか!」


「グラスか覚えたぞ、お前の実力を見込んで歓迎するぞ」


「ありがとうございます」


 幹部説得への道が一気に近まった気がするぞ。これは好機と言える、全く情報がなかった状態から一気に僕は進歩した気がした。



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