7.条件
「……」
「なあ、シへレネリンあいつは何者なんだよ」
「彼はコルネへタ様だよ。精霊会の5人の幹部のうちの一人。階級は5だけどランクで言うとSクラスに相当する。B級の俺なんかじゃ歯が立たないよ」
「そんな凄い人だったのか」
「精霊会の幹部は大精霊様の最も忠実なるしもべとして最強に近しい力を与えられているんだ。他はともかく階級1の幹部は原初の精霊と同等の力を持っていると言われているらしいぞ」
「そうなんだ」
原初の精霊と近しい力と言われてもそれと戦ったことがないから何とも言えないな。というか僕が探しているシテリィセリアは精霊だったと思うんだけどあいつ原初の精霊なのだろうか。聞いてみるか。
「なあシテリィセリアっていう精霊を知らないか」
「さあ、聞いたことがないな。そもそも俺は大精霊様の名前すら知らないし」
「ふうん」
こいつ本当に下っ端なんだな。
「お前今俺についての悪いことを考えただろ!」
「いや何も考えてないが、やめてくれよいきなり」
「そうか、ならいいんだ……そろそろつくぞ」
シレへネリンが指をさすと精霊会の拠点の中に入ってから最も大きい扉が出現した。
「この扉をくぐると大精霊様のいる空間へと繋がることになっているんだが、B以上の信徒は入ることができないから基本的には大抵の信徒は干渉することができない。お前は運よく俺の案内によってここを通ることが出来るんだよ」
凄く誇らしげに話すシレへネリンであるが、こいつに任せてしまって本当にいいのだろうか。
「ご主人様……この方どこか頭が抜けておられるのですか」
「誰が頭が抜けているだ!」
それから僕は大精霊がいるという空間に突入した。
「これは中々に異空間な感じが出ているな」
転移ゲートと言った感じにごちゃごちゃした光が入り混じっているだけの道が続く。特に何もものというものがなくある意味で何もない空間である。
「よく来たなお前達」
僕達の前に大精霊が現れたのであった。
「私こそ大精霊だ」
何だこの人は、全てを見透かされている感覚に陥っている。
「大精霊様! 新たな精霊会の信徒を見つけました。期待の新人グラスです」
シレネへリンは早速僕を大精霊に紹介する。
「ふむグラスか……」
怪しく微笑む大精霊、鋭い視線で僕の方を見てくる。
「ふふふ知っていたぞ……やっとか」
知っていた? どういうことだ。
「シレネへリン、ご苦労だったな、もう引いていいぞ」
「へ? 大精霊様! いつもだったら私の配下としてこの者を加える手筈のはずですが、引いていいとはどういう事でしょうか」
「黙れ! 貴様の手には余る問題だ。今すぐ失せろ」
「ひええ! 分かりました」
大精霊に一括されてシレネへリンはその場から一目散に立ち去った。
「お、おい……行っちゃたよ」
「凄いビビりようでしたね」
レピティとそんなことを話しながら僕は再び大精霊の方を向く。
「さて、会いたかったぞグラス、自己紹介が遅れたな私は大精霊、名をシェヘレラフォードという」
次の瞬間大精霊の表情はシレネへリンに見せたものとは思えないほど柔らかくなり、まるで僕を知っているかのように優しく微笑みかけてくるのだった。
「お前がここに来た理由は大方把握できる。シテリィセリアについて聞きたいのだろう」
「やっぱり声を聞いていてそんな予感はしましたが、大精霊様は精霊都市の時に僕達に連絡してきてくれた初代精霊女王様なのですか」
「ふふふ、そうだぞ、お前がここに来るのを待っていた」
「ふふふって……ここに来るのに苦労したんですよ。なんで最初から案内してくれなかったんですか」
「それだと面白くないだろう?」
「面白くないって……そうですか、そしたら早速シテリィセリアさんの話を教えてくれませんか」
僕は振り回された感じがしてイラついたがすぐに切り替えた。
「ふむ、早速私にそれを聞いてくるか……まあ断るが」
「は?」
「大精霊に願いをこうにはそれなりの対価を必要とすることをお前は知らないのか。我が精霊会に入隊して、成果を上げる、それがお前に提示するシテリィセリアについて話す条件だ」
なんだか面倒なことになってきたぞ、でも成果さえ残せばシテリィセリアについての情報を手に入れることができるというのは悪くない条件かも知れない。
「分かりました。して条件はどのようなものでしょうか」
「期間は3か月だ、この期間内にお前には現精霊会の幹部5人のうち過半数の幹部を味方につけて私の元にシテリィセリアについての情報開示を求めるように署名を持ってくるんだ。そしたら認めてやってもよいぞ」
「……分かりました」
随分と難易度が高そうなお願いをしてくるものだ。どうせ反論しても時間の無駄だろうからおとなしく従うことにした。
それから僕達はシテリィセリアの情報をシェヘレラフォードから聞くため精霊会の会員が集まる場所へ赴くことになるのだった。




