6.ランク
そんなかんだで僕達は精霊会のメンバーが集まるとされている集会を訪れることになった。その集会ではたくさんの信者たちが集まっていた。一体精霊会というメンバーがどのような活動をしてその原初の精霊というのを崇めているのか非常に気になるところである。
「シテリィセリアの手掛かりが見つかるといいけど」
「君はグラスか!」
「え? そうだけど」
集会にいる僕達に突如信者のうちの一人が話しかけてきた。
「ふふふ、それは面白いことになったな」
「は?」
突然話しかけてきた男はそう言うと怪しげな笑みを浮かべて僕の方向を向いて笑いかけてくる。
「君の事はよく知っているよ魔王を二回も倒したっていう大英雄だからね」
「それはどうも」
流石に功績を立て過ぎたせいかこんなところにも僕を知っている人物がいたか。随分と僕も有名人になってしまったようだ。
「君の活躍を大精霊様も光栄に思っているに違いないよ。このシレネリン、大精霊様の使いとしてとても光栄に思っている」
「大精霊? まあそれはめでたい事ですね。あったことのない人物に光栄に思われても嬉しくないんだけど」
「君、大精霊様の存在を信じていないな? 流石に今の発言はいただけないな」
「大精霊様とはどんな人物なんだ興味があるんだが」
もしかしたら初代精霊女王が大精霊なのかもと思い僕はそう尋ねてみた。するとシへレネリンは目を見広げて反応する。
「ふん、ふむふむ……君は大精霊様に会いたかったのか」
「……どうした」
シへレネリンは少し考えこんだ表情をしていきなり黙りだす。
「そうか、大精霊様は当然君に会いたがっていたが、迷惑かと思いそれは控えていた、が君は今どうやら大精霊様に会いたいと……これは好都合じゃないか」
怪しげにほほ笑むシへレネリンは再びこちらを向いて僕に話しかけてくる。
「いいよ、君を大精霊様の元に連れて行ってあげよう」
「え? 本当にいいのか」
僕はあったばかりなのに提案が受け入れられてくれたシへレネリンに驚きを隠せないのだった。
「というか大精霊様というのは本当にいてまさかあなたはその大精霊様と本当につながっていたのか」
「君僕の事を疑っていたのか。いいかい大精霊様に合える人物は一定階級の階級があるんだ」
「階級?」
「ああ、大精霊様の鑑定スキルによってEからSSSまでの階級が振り分けられる。ここにいる連中はみんなEランクだから大精霊様の情報にすら辿りつけないわけさ。ちなみに俺はBランク、ここにいる皆からは上官として崇められている」
「鑑定って……嫌な思い出がフラッシュバックするんですけど……」
「なんか言ったか?」
「いや別に何も言ってないけど……」
「そうか」
しかしBという評価は何か微妙だな……でもここにいる奴らと比べれば凄い方なのか。
「グラス、俺の見込みでは魔王を何回も倒したお前のランクは俺の上のAクラスに違いない。これなら大精霊様もお前を大歓迎だろうよ」
「いや魔王を倒したことあるのに僕の評価はAクラスなのか……大精霊様はそんなに凄いのかよ」
「それはまあ、魔王を倒そうと思えばいつでも大精霊様は倒せるからね」
「じゃあ、なんで倒さないんだよ」
「大精霊様は精霊会外への干渉を禁止されている制約をしているみたいだからね。因果律を曲げることになりかねない」
「因果律? まあ難しい事は知らないけど、とにかく干渉できない制約があるという事なのか」
「そう言う事だ。それじゃあ、君を大精霊様がいる場所まで招待することにするよ」
僕達はシへレネリンに案内された場所へ訪れることになった。
精霊会の拠点の一つ、崖の上に浮遊している不思議な建物がそこにはあった。
「こんな場所があるのは驚きですね」
「そうだね」
空中に浮遊する建物なんていうものは正直始めてみたから凄い驚きを感じた。
「じゃあみんな集まったようだからね。そろそろ中へ入るとしますか」
そうしてシへレネリンが僕達を建物の中へ案内しようとする瞬間に中から他の信徒とは違った格好をした人物が現れた。
「お、シへレネリンじゃねーか。いつも通り色んな奴に声をかけまくってはまた接待をしているのか。ご苦労なこったな。ま、今回の奴も使い捨てか?」
ライオンのような髪にいかつい顔をしたその男はあって早々シへレネリンをからかう。
「コルネへタ様! 人聞きの悪いことを言わないでくださいよ。それに今回僕が連れてきたのは大本命の人物……きっとあなたも驚くことになりますよ」
「なんだと……」
シへレネリンが敬語を使っているあたり彼より階級が上の人物なのだとは思うが、その男は不本意な事を言われて不快そうな表情をした。
「ふーん、そいつが俺を驚かすね……まあ大層な自信なようだけど、あんまり期待しないでその時を待っておくよ」
そう言うとコルネへタはその場を去っていった。




